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変わり者と社会

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『変わり者と社会』

「人と違う道を選ぶと、失敗したときの損害は大きい。」
「人と同じ道を選んでいれば、失敗しても損害は小さい。」
 こんなふうに考えている人が多いのではないだろうか。
 実際、社会に出るまでの学校生活においては、特にこれが妥当しているといえる。

 例えば、学校のテストについて例を挙げてみよう。
 Aさんは、授業は一切聞かず、宿題もせず、家に帰ってから必死に独学で勉強をしていた。
 Bさんは、授業を受け、宿題もしており、家でも他の生徒と同じ程度勉強していた。
 このような2人が同じクラスにいて、同じテストを受け、同じく悪い成績を取ったとしよう。
 AさんとBさん、どちらがより教師から非難を受けるかは自明であろう。
 しかし、Aさんのどこに非難される点があるだろうか。
 AさんもBさんに負けないくらい努力をしている。
 AさんとBさんの違いは、選んだ道の違いだけ。

 あえて、険しい道を選ぶということは歩むことが辛いというだけでなく、失敗したときより大きな非難を受けることにもなる。
 あえて、そんな道を選ぶのは、一部の変わり者だけである。
 しかし、人間が真に成長しようとすれば、険しい道を歩むことが必要である。
 人間の成長とは進歩することであり、つまり、それはこれまでになかったものを作り出すことである。
 人と同じ道(他人がすでに切り開いた道)ばかり進んでいては、人間は成長しない。新しいものを作り出すことはできない。
 全ての人が、自分の頭で考え、自分の手で作り出すということを放棄したとすれば、社会は停滞する。
 しかし、現在の学校教育は全ての生徒に学校の教えるやり方を押し付け、それにそぐわない生徒を非難し、修正し、究極的には排除する。
 変わり者は、学校教育の中で、淘汰されていく。

 このように、人間の社会は、非難されながら生き抜いてきた人たちによって発展を遂げてきたといえる。
 そして、人々は、ノーベル賞受賞などの良い結果を出した人に対しては、手のひらを返して称賛を贈る。
 これに対し、結果を出せない人は、非難を受け続ける。

 一部の人に社会の発展を任せているにもかかわらず、それを担う人たちに対して冷たい社会。
 結果が出れば手のひらを返し、あたかも今まで応援していたかのように振る舞い、我々は仲間であるとアピールする人たち。それまでは、仲間外れにしていたにも関わらず。

 多数派による支配を容認する民主主義という政治体制の下においては、変わり者が生きにくいというのは仕方がないのかもしれない。
 しかし、多数派も、そろそろ自分たちのやっていることの恥知らずさ加減に気付くべきではないだろうか。
作品名:変わり者と社会 作家名:山本久和