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ろーたす・るとす
ろーたす・るとす
novelistID. 52985
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便利屋BIG-GUN2 ピース学園

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 本来の仕事はこっちだ。気にすることは無い。午後は古文だったか。昨日コピーさせてもらったノートが無駄になるのは少々残念だが。
「よし先に行って待ってようぜ」
 俺は歩き出したが瀬里奈は今度は従わなかった。
「あんたのマンションに?」
「当たり前だろ、そこに呼び出したんだから」
 しばしの静寂。
「連中が集まってから行く」
「なんでだよ、時間の無駄だ」
 しかし瀬里奈は動かない。
 こいつまだ俺の事を信用していないのだろうか。いやここまで話してくれたんだ。そんな事は無いだろう。
 瀬里奈はなんか顔を赤くして口を真一文字に結んでこっちを睨んでいる。
 俺を警戒している。しかし巨大な権力を敵に回して怯えているという顔では無い。これは駄々をこねている子供、あるいは……
 まさか…… お前。
瀬里奈はついに口を開いた。
「二人じゃ行かない」
 あのな……
 この流れで突然乙女っ気だすなよ! こっちが恥ずかしいわ!
 てこでも動かなそうな感じ。今度こそため息をついたとき
救世主登場。
「風見君…… 話まだ?」
 米沢さんがまた俺を探しに来た。
「いいところに。ちょっと付き合ってくれないか。昼休みが終わるまででいい」

「あちぃー」は何故流行語大賞にノミネートすらされないのかと疑問を抱きつつマンスリーマンションに女子高生二人を引き連れ到着。
 学校の前の通り「弾丸通り」を100mほど歩いた所だから数分だ。建物は3階建て。部屋は最上階3階の一番奥。有名殺し屋さんの習慣を真似てみました。偶然だけど。
 テレビ、冷蔵庫、電子レンジまで備え付けなので大した荷物は持ってきていない。だから全く散らかってもいない。まあ三日前に引っ越してきたばかりだしな。愛車プジョー106も下の駐車場に停めてある。
「ヘえー、いい部屋ね」
 米沢さんは入るなりテンプレートな事を言った。社交辞令だろう。彼女ほど人間関係を円滑に進める術を知らぬ黒髪のおねーさんはキョロキョロと部屋を見回している。
 とって食やしねーよ。普段ならわからねーが。
「何を探している瀬里奈。すけべな本ならないぞ」
 そんなものはスマホで事足りる。
「下ネタに振るな、ばか」
 へそを曲げる瀬里奈に米沢さんは苦笑するばかりだ。
「お茶でも出したいところだが生憎引っ越してきたばかりで何もない。お前手下に来るときなんか買ってこさせろ」
「手下言うな」
 言いつつメールを打った。
「で、なんで風見君のマンションに? 午後の授業どうするの」
 米沢さんのごもっともな質問。むしろ今までしてこなかったほうが不思議。
「こいつとその仲間にこれ以上悪さしないように話しようと思ってな。プライバシーに関わるから君は帰ってくれ、ありがとう」
 すると瀬里奈が反応した。あわてて米沢さんの細い腕を掴む。
「だめ、まだ帰っちゃ。連中来るまでいて」
 まぁ予想通り。ここまで警戒されると逆に悪さしたくなるな。
「昼休みもう終わるよ、米沢さん遅れちまう」
 少し困ったような顔をしたが米沢さんはこう言う。
「うーん、私も二人だけ残して帰りづらいな」
 そして笑った。
「私もエスケープして残ろうかな」
「それもだめ!」
いちいち声がでかいんだよ、瀬里奈。
 人がせっかくお茶を濁そうとしているのに疑われるじゃないか。
「あんたは私らなんかに関わっちゃだめ、仲間が来たら帰って」
 ここまで付き合わせといて何を言うか。興奮すると冷静に判断できないタイプか。それはともかく一つ疑問がわいたので聞いた。。
「そういえば君達、友達なの? 結構親し気だけど」
 瀬里奈は答えなかったが米沢さんは頷いた。
「中学から何かとね。瀬里奈と一緒だと男の子寄ってくるからお得だったし」
「そんなわけあるか……」
 小さく瀬里奈が突っ込んだ。いや確かにこの二人が歩いていれば男も声をかけてくるだろう。
 初めて会った時、彼女は瀬里奈を避けているように見えたんだが非行に走った友人に周りの人間を近づけたくなかった…… そういうことだったのか。
 瀬里奈の携帯が鳴った。
「あ、アスカだ。下に着いたって。学校にいたんだ」
 だったら米沢さんつき合わさなくてもよかったじゃねーか。大体生徒が昼間学校にいるのは当たり前だろーが。どんな生活してるんだ。
「じゃあ、帰るわ。風見君また遊びに来てもいい?」
 願ってもない。枕をもう一つ用意しなきゃ。
 とはさすがに口に出来ませんでした。
 返事をする前に瀬里奈は俺を射抜くように睨んでからドアの外まで彼女を引っ張り出していた。
 少し困惑する彼女に何か説教している。横顔が見えるので唇が読める。
 アナタハ、アイツニハ、チカヅイチャダメ。
 住む世界が違う。俺みたいな悪党と係わり合いを持っちゃいけない。あいつなりの友達への優しさか。
 そういうところも変わっていなかった。

 米沢さんと入れ替わりにアスカという1年生の女が入ってきた。
 最初は俺に敵対心むき出しだったが(当たり前か) 瀬里奈が取り成すと落ち着いた。瀬里奈の横に座ってベッタリ状態だ。同い年なのにすっかりおねー様状態だ。確かに瀬里奈には大人っぽい雰囲気がある。
 ほんの数分前までは歳相応の乙女ちゃんだったけどね。
 同じ反応されるとめんどくさいので瀬里奈に事前にメールを打たせ、待つことしばし三人の男達が現れた。
 言うまでもないが俺が張り倒した奴ら。倉庫にいた二人と校舎の裏で煙立ててた奴。ここは禁煙だからな。
「こいつは風見健、私の古い知り合いだ。腕っ節は全員わかっているな? 例の件で手を貸してくれる。全員こいつの指示に従え。こいつはこういう事のプロだ」
 瀬里奈が紹介してくれた。こいつこいつ耳につくなぁ。マイ・ダーリンじゃ駄目なんだろうか。
 後をついで俺は話し出した。結論から言うことにする。
「話は聞いた。証拠物件を奪われちまった以上、立件は難しい。相手は恐らくヤクザで話の通じる奴らじゃないが、高校生と本気でやりあって事を荒立てるとは思えない。お前らがこの後口をつぐんで大人しくしていれば奴等はちょっかい出してこない。一件落着だ。これ以上誰も傷つかない。俺はこれがベストな解決策だと思う」
 話し終わって一瞬の間。
 奴らの反応は予想通りだった。
「バカか、おまえは」
「そんな事言う為にわざわざ呼び出したのか?」
「こっちはリーダー殺されてるんだ」
 散々にわめき始めた。
 隣と下の部屋は空室だが少し静かにして欲しいものだ。ここは共同住宅だぞ。
 瀬里奈は黙ったままだ。全権委任という事だろう。
 俺は両手を上げた。まぁ落ち着けよ、サルじゃあるまいし。
「わかったわかった。今のは真っ当な市民としての正論だ。話を聞け」
 不良共は結局実力で繋がっている。要するに強い奴が偉い。
 この中で俺が圧倒的に強いのは証明済みなので従わせるのは難しくない。
 む? ということは瀬里奈もやはり強いんだろうか。松岡の娘だ。才能はあるだろう。そういえばジュンも運動と実益のためにマーシャルアーツやってるとかいってたな。俺の周りの女こんなんばっか。悪くは無いが。