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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   11話   『十人十色』

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「うぉりゃ…うっ、このッ!とりゃッ!はぁッ!くらえッ!」

「くッ…!そうはいかん!そこぉッ!おらぁッ!倒れろぉッ!!」

「あッ…!卑怯だぞ、押し倒すなんて…」

「フフフ…卑怯なものか。これもお前が隙を見せるからだ。観念しろッ!!これをブチ込んでやるぜッ!!ふんッ!!」

「や、止めろ!それは、くぅッ…」

「もう遅いッ!どんどん入れてやるぜッ!はぁッ!てやぁ!おりゃあ!」

「うぅ…あぁ…ダメ…やめて…あぁ…それダメッ!奥だけは…あぁッ!」

「ハハハ!これは愉快だぜ。今回は俺が攻められるとはな」

「うぅ…」

「これでフィニッシュだッ!!いくぜッ!!」

「や、止めてぇぇええッ!!」


『KO!!』

YOU WINという表示がテレビに映された。
かえではコントローラーを投げ出し、唸りながらばたりと寝転がる。

「よっしゃあ!!かえで勝負あったな」

「あ~ぁ、負けちゃった」

そう、晩飯後、かえでが『暇だぁ~』と言いながら俺の家にやってきたかと思うと俺の部屋に勝手に入ってきて『対戦しよ~よ』と言って、格ゲーを始めて今に至るのだ。

ちなみに戦績は、20戦中俺が9勝11敗、かえでが10勝10敗だ。

「でも、春斗さっきのは卑怯だよ~。足払いして倒したかと思ったら、そこからハメてくるは、挙句の果てには奥まで追い詰めて鬼畜攻めの奥義発動だもんネ~。中々の鬼畜っぷりだったよ☆」

「いや、それは意味と使いどころ違うから」

こいつの頭の中は一体どうなってるのやら。

「グフフ☆でも、あたしと春斗のさっきのやり取りCGなかったから聞き方によってはR指定じゃない☆??テキスト読み返してみればわかると思うけどネ☆あーナンダカ興奮してきたよー☆ねぇねぇ、春斗!!さっきのテキストエロゲみたいじゃない??」

急に起き上がりテンションも最高潮になったかえでは嬉しそうにそう言う。

テキストいうな。
リアルまでギャルゲー形式にしないでおくれ、かえでよ。
それと恥じらいを持ちなさい、女の子が仮にも幼馴染に、それも男にエロだの何だの下品なこと言っちゃいけません。

「はいはい、そーですねー」

と下手に諭しても逆効果なのはわかりきってるので軽く受け流しておく。

「ん~でも、いい暇潰しになったよ。ふぁ~。眠くなってきた」

かえでは横になりながら大きな欠伸をする。

「そうだな。んじゃそろそろ俺も寝るかな…うーん」

俺は、持っていたコントローラーを置いて、大きな伸びをする。

「ねぇ~春斗、帰るの面倒だからここで寝ていい~?もう眠くて動けない」

かえでは、大の字になって白旗を挙げていた。

「泊まるのは勝手だが、俺の部屋じゃなくてとなりの客間で寝てくれ」

「んじゃ、つれてって~あたし、もう眠くて無理ぃ~」

かえでは、両手を俺に向けてまるで抱っこと言わんばかりに差し伸べていた。…やれやれ。

「ほれ、手貸してやるから立てよ。すぐそこなんだから甘えるんじゃない」

「ん~。春斗はこのシチュは萌えないみたいだネ。…残念だぁ☆」

かえでは、ゆっくりと立ち上がる。…ってそれやりたかっただけかよ。まったく、しょうがないヤツだ。

「じゃ、あたし寝るよ。おやすみんみん~いい夢見ろよ☆」

「おう、んじゃおやすみ」

かえでは、グッジョブすると俺の部屋を出て行くのだった。

「さて、俺もそろそろ寝るか」

今日もいろいろあって疲れたからな。…そう、いろいろとな。
俺は部屋の電気を消すと、ベッドにダイブする。
そして、目を閉じると早々に眠気がやってきて、俺は眠りに落ちていくのだった。





俺は今、ヤツと緊迫とした雰囲気の中で対峙していた。
でも、状況は俺が有利だ。なぜなら、ヤツは『動けない』なのだから…。

「悪いな…。でも、俺はお前の息の根を止めなければいけないんだ…」

俺は哀れむかのような視線でヤツを見据える。

「へへ、負け続きの毎日だったが楽しかったぜ。でも、それも今日この瞬間、俺は勝利するんだ。ってなわけで終わりだぁぁああッ!!」

俺は、ヤツに向かってゆっくりと手を伸ばしていき、そして…。

-ジリリリリリ…カチッ!!!

「あはは!どうだッ!今日の俺はいつもの俺じゃねぇんだよッ!!」

俺は勝ち誇った勇ましい戦士のような表情で、今はもう止められて鳴ることはないただの時計と化した目覚ましを見下ろしていた。そう、なぜなら俺は…。
目覚ましよりも先に目を覚ましたんだからなぁッ!!

「う~ん…なんて清々しい朝なんだ」

俺は大きく伸びをすると、カーテンを左右に、そして、窓を豪快に開け放つ。
すると、春の陽気とうららかなそよ風が俺を駆け抜け、でもって俺の部屋に入っていく。

「うん、今日もいい天気だ。こんな日は何かいいことが起きそうな気がしてくるぜ」

「もう~お兄ちゃん朝から何一人でお馬鹿なことしてるの?もしかして寝ぼけてるの?あ、わかった♪これが素のお兄ちゃんなんだ♪ボクずっとお兄ちゃんと一緒にいて気づけなかったよ♪ごめんね♪」

「誰が素で寝ぼけるかぁッ!!っていうか明日香いつの間に…でもって、そろそろ喜びながら俺に哀れんだ視線を向けるのはやめないか?」

「えへへ♪だってお兄ちゃんのこと心配だったんだもん。もしかして、余りにも寂しいからって目覚まし時計とおしゃべりする変人さんになっちゃったのかと思ったんだもん」

「んなわけあるかぁッ!!俺はそんなに病んでないわぁッ!!どこぞの不思議っ娘と一緒にすなッ!!」

俺は、取り敢えずそんな不思議ちゃんのレッテルを貼られたくないので大いに否定する。

「うん♪これでこそボクのお兄ちゃんだね♪やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだよ♪えへへ♪」

「どういう意味だそれは…わけがわからん」

明日香は満足そうな表情で頷いていた。…何を納得してるのか激しく気になるが…この際まぁいいとしよう。

「で、明日香、お前はいつから俺の部屋にいたんだ?」

「いつからって『昨日』の夜からずっといたよ♪それがどうしたの?お兄ちゃん?」

明日香は可愛らしく小首を傾げながら俺を見つめる。

「そうか、別に何でも………ん?」

今…何て言った?『昨日』…の夜から…ずっと…だって…?
俺はリスの如くくるっと振り返り明日香を見据えてみると、

「えへへ♪」

向日葵が太陽の光で光を吸収しすぎて化学変化し、眩いくらいの光放つかのような極上の満面の笑みで俺を見ていた。

「………」

俺は明日香のところにゆっくりと近づいていく。そして…。

「…明日香」

「なぁ~にお兄ちゃん?」

「こら」

俺は明日香の額にでこピンをクリティカルヒットさせてやった。

「あ、痛ぁッ!もう、お兄ちゃんひどいよ~!何ででこピンするの?」

「何でもどうしてもない!まったく…また勝手に俺の部屋に入ってきやがってよ」

「か、勝手にじゃないよ?ちゃんと小さな声で『お兄ちゃん入るよ~』って言ったもん」

気づかれず入る気満々じゃねぇかよ…。まぁ、明日香に何を言っても無駄ってことだな。
まぁ、わかっていたことだがな。

「はぁ…。まぁそれはいいとして腹減ったぜ」