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アナザーワールドへようこそっ!  第三章  【046】

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  【046】



 キーン……コーン……カーン……コーン。

 「セ、セーフ……っ!?」


 俺とマルコは、ギリギリ滑り込みで教室に間に合った。まだメガネツン女史は来ていないようだ。

「いや~、危なかった……」
「でも、ハヤト様が急いでくれたおかげで、何とか間に合いましたね」
「いや、悪い……本当、すまない、マルコ。次からは、ちゃんと寝坊せずに起きるから……」
「いえ、わたくしがもっと早めに起こしておけばよかったんです。すみません、気づくのが遅くて……」
「いや、そんなこと無いってっ! これは、単に俺の寝坊が原因…………」

「まったくだっ! ハヤト・ニノミヤ。お前が『遅れの原因』だったかっ!」

「「!?……メ、メガネツン…………あ、いや…………サラ・スカーレット先生っ!」」
「んっ? メガネ……何だって?」

 気づくと、メガネツン女史がいつの間にか後ろに立っていて、俺とマルコの会話に入ってきた。

「「あ、い、いえ……何でもありません」」

 驚きのあまり、俺とマルコはつい、『メガネツン女史』と言いそうになった…………あぶない、あぶない。

「ふん……まあ、いい。とりあえず、早く席に着け。授業を始めるぞ」
「「は、はい……」」

 俺とマルコは、そそくさと自席へ向かった。俺の席は、『教室の奥の一番後ろ』という『テンプレ席』で、その隣にシーナがいる。ちなみにマルコは俺と反対側の『廊下側の後ろの席』だ。席に着くと、隣のシーナが、

「何よ、お兄ちゃん……寝坊? まったく、だらしないんだから……」
「し、しょうがないだろ………………は、反省してます」
「それにしても、あのわたしのファンクラブの会長の『マルコ・デルフォード』とずいぶん仲良くなったんだね」
「ああ。あいつ、しゃべってみると、すごく気が合ってさ。それに、学校(アカデミー)のこととか、いろんなこと知ってるから、すげえ頼りになる奴なんだよっ!」
「へえ~、そうなんだ……パッと見は、そうでもないように見えたけど…………以外ね」
「まあな……」

「おい、そこの『特別招待生』の二人……授業はもう始まってるぞ、口を慎めっ!」

 俺とシーナは、メガネツン女史に、思いっきり睨まれながら注意された。

「「す、すみませんでした…………」」

 授業初日は、メガネツン女史から目をつけられるところからスタートした。


「さて……授業初日、一発目は、座学……『歴史』の授業だ。まず今日の授業は、我々『人間族』と、『その他の種族』との歴史からだ」

 へえ…………それは面白そうだな。

 この学校(アカデミー)の授業って、この世界のことがいろいろとわかりそうだな……。

 んっ? 待てよ?

 『座学の授業』って、こういうことか。

 つまり、ここでの『座学』『授業』ってのは、地球のときみたいな『退屈』『つまらない』という『やらされてる感』のものじゃなくて、『自分にとって必要な情報を得るための場』ということになるんだ。

 これは、助かる!

 俺は、早速、机の上に『メモ帳』と『ペン』を出して、メガネツン女史の話を聞く体勢を整えた。

 ちなみに、この学校(アカデミー)の一日の授業スケジュールは、地球のときのソレとは少し異なっている。

 まず、学校(アカデミー)の授業は地球と比べると朝が非常に早く、一時間目は『朝七時』からスタートする。ということは、つまり、今の時刻は『朝七時』を回ったところということだ。

 朝七時から授業だなんて、そんなの早過ぎだろっ! と、自分が遅刻しそうになったのはしょうがないことだ……という、そんな『正当性』を見出そうとしている自分に気づき、少し、落ち込んだ。

 まあ、そんなこんなで、朝七時から一時限目がスタート。授業は『一回一時間』で、それが『五時限目』まである。毎回、授業終了後は『十分間の休憩』を挟み、その間に教室移動も行う。この辺は地球の一般的な学校とほとんど一緒だ。

 授業は、午前中に『三時間』行い、『お昼休み』が一時間入る。そして、午後は、残りの『二時間』を消化すれば、学校(アカデミー)の一日は終わる。終了時間は、だいたい、午後二時くらいだ。まあ、朝が早い分、学校が終わるのは地球のソレに比べれば早い。

 そんなこんなで、アナザーワールドに来て、はじめての学校(アカデミー)の授業がスタートする。


「まず、この、わたしたちが住んでいる星、『アナザーワールド』には、『人間族』以外に四つの種族が存在する。『巨人族』『小人族』『獣人族』そして……『妖精族』だ。皆も知ってのとおり、『アナザーワールド』は『五つの島』と『四つの極』があるのだが…………では、そこのお前、この『五つの島』を全部答えてみろ」

 メガネツン女史は、唐突に前の席の男子生徒を指した。

「は、はいっ! え、えーっと……『五つの島』とは、我々、『人間族』が住んでいる『中央大陸』と、『獣人族』が住んでいる『北西大陸』、『小人族』が住んでいる『北東大陸』、『巨人族』が住んでいる『南西大陸』、あと、『妖精族』が住んでいる『南東大陸』ですっ!」

 当てられた男子生徒は、当てられたときこそ、ビックリしてキョドっていたが、その後は、スラスラと答えた。

「うむ、よろしい。まあ、これくらいは、『ジュニアの五年生レベル』の常識だな。では、次、そこのお前、『四つの極』を答えてみろ」

 今度は、その男子生徒の隣の女子生徒が指された。

「は、はい。『北極』と『南極』、あと『東極』と『西極』ですっ!」

 その指された女子生徒も、最初は驚いていたものの、すぐにスラスラと答える。

「うむ、よろしい。そう、この我々が住んでいる『アナザーワールド』という星は、『五つの島』と『四つの極』があり、それが、この『アナザーワールドのバランス』を保っている…………そこまでは、全員、大丈夫だな?」


「「「「「はいっ!」」」」」


 皆、一斉に返事をする…………俺とシーナを除いては。

「うむ……では、先に進めるぞ。そして、我々…………」

 メガネツン女史は、俺とシーナが返事していないことには気づいていないようだった…………あぶない、あぶない。

 それにしても、この世界には地球と違って『北極』や『南極』以外にも『四つの極』があるんだな…………確か、『東極』と『西極』だっけ?

 まあ、まだ地図みたいなものを見たこと無いからわからないけど、まあ、『東の端』と『西の端』ということなのだろう……地球では『北極』も『南極』もすげえ寒いところだけど、ここでも同じなのだろうか? 何か、まだ授業は始まったばかりなのに、もうすでに面白いわ。

 それにしても、メガネツン女史が最後に言った言葉…………『アナザーワールドのバランスを保っている』というのは、どういう意味なのだろう? もし、そのままの意味なら、このアナザーワールドは、『五つの島』と『四つの極』があるからこそ成り立っている……ということになる。

 ということは、言い方を変えれば、『『五つの島』と『四つの極』が異常をきたすと『アナザーワールド』も異常をきたす』…………ということになるのだろうか?