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ヤマト航海日誌

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2015.10.4 パトレイバーDNK



前回チラッと「〈F-1〉や〈F3〉がなんだ」とここに書いたので今日は間の〈F-2〉の話でもしましょうか。ちなみに〈F3〉にだけ文字の間にハイフンがないのは決して誤記ではありません。

誤記と言えばおれはこないだ図書館で、伊藤計劃という夭折したSF作家のブログを死後にまとめたとかの映画評の本を見つけて中を読んでみて、おや、と思う記述に当たったのである。『ゴジラ2000ミレニアム』を評した項に「アメリカと一緒にSFX作るだけで大騒ぎになる自衛隊がなぜか新兵器を開発していて」だとか書いた一文があった。

「〈SFX〉? なんのことだ」とおれは思ったけれどしかしすぐ、これは筆者は〈FSX〉と書いたつもりなのだと気づいた。より正しくは〈FS-X〉で、つまり〈F-2支援戦闘機〉の開発段階での呼び名だ。西暦2000ジャストと言えば〈FSX〉が〈F-2〉として量産と基地への配備が始まって、〈平成のゼロ戦〉と呼ばれた年やん。だからそうに決まっとるわ。

故人の雑記を十何年も経ってから本にまとめたものなのだから、こんなことがあるのも当然。〈FSX問題〉は、かつては結構、世を騒がせた話だった。

春風光画部OBみたいなアメリカからアレコレ口を出されて作った日本の〈F-2〉。1990年代を通じてずっと国内でも、あの高校の生徒会長みたいなやつらからさんざんギャアギャア言われていたのだ。

だが十年も過ぎてしまうと、そんなこと覚えているのはおれみたいな人間だけとなるのだろう。すべての思い出は消えていく。雨の中の涙のように……きっとあと五年もすれば、沖縄へ行って「オスプレイ」と口にしても「は? なんのことですか」と聞き返されるに違いない。

かく言うおれも、〈やおい〉を〈やよい〉とこの日誌でずっと書き間違えてたのを、前から読んでくれてる方は当然気づいて『バカじゃねえのか』と思っておられたことだろうが、あーあーそうだよ悪かったなあ。

いや、知ってはいたんだよ、〈やおい〉は〈ヤマなし、オチなし、意味なし〉だって。けれども昔にこれはてっきりひおあきら画の古代と島がホモるようなもんだと思って近づかないよう考えたときに、〈やよい〉だと重いコンダラしたバグが脳に潜んでいたみたいなの。

やーねえ、なんで、気がつかなかったんでしょう。これの続きを書くためにワードパッドを開くたんびに最初の部分を目で見てたんだけどなあ。

人間は自分のことが自分でわからんもんである。山本太郎なんかもさぞかし脳がアニサキスの巣くったサバの腹の中みたいになってるに違いないが、あれこそミゾウユウですな。さて〈やよい〉と言えば『機動警察パトレイバーSFX』……違うな。あの実写版。なんか三文字ついてたはずだが正誤以前に覚える気もしねえやあんなの。

第一話だけ無料放送で見たけど、いやあ……グダグダに磨きがかかって、もはやロボ柔道すらせずに、カタを取るだけ! ロボットが! カタを取って〜く〜れる〜だ〜けでいい〜。カタを取ってえ〜くう〜れる〜ウ、だけ〜で〜エ〜い〜イイイ!

そうでした。もともとそういうファンによって支えられてるシリーズなんすね。もともと日本のアニメとか特撮とかいうものが、そういうものなんですね。で、今は、『VFX』と言わなきゃいけないんでしたっけ。出渕裕〈永遠の十九〉先輩がそうおっしゃっておられるのだから、黙ってついていけばいい、と。

だから『ヤマト2199』もあれでいい……おお危ねえ、また『ヤマト』の話にならずじまいになるとこだった。おれの書いてる小説も今んところグダグダしてるが、すみませんねえ、しょうがないのよ……一応は意味があってやってることで、今日やっと冥王星がなぜ〈スタンレー〉なのか説明するとこまできたんだけどさ。それというのも今の日本であの戦争を語る人間なんてえのは、春風光画部OBか、それとも山本アニキサス太郎みたいなのか、どっちかしかいねえんだもの。

〈ABCD包囲網〉や辻政信も、極右左翼の目を通してしか語られない。そしてそのどっちもが、〈ABCD〉はただカネだけの問題で、辻政信はただの鬼子であると言う。誰かが死者の代弁者にならんといかんのだろうが、しかし……。

ええと、なんだっけ。『パトレイバー』の話だっけ。そうそう、前回、マンガ版『パトレイバー』の泉野明は主人公としてなっとらん、ちゃんと話に絡めなさいとおれはさんざん言ったけれども、よく考えるとそもそも男の創り手がふつうの女の子を主役にして、恋と成長を描くなんてできっこねえか。

そうだよなあ。無理にやったら『ミンキーモモ』になっちまうに決まってる。あるいは、あれだ。『スチュワーデス物語』だ。出渕裕がしかしまたまた好きそうな。

泉野明が篠原遊馬に弁当作って「誤解しないでよね! アタシはアナタのことなんか全然好きじゃないんだからね!」。そんなもんにしかならんのだったら、ロボ柔道のがマシってことだ。ヲタクはむしろ篠原遊馬は能書きたれだという能書きを千葉繁がえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんえんと垂れて、泉野明がツンデレて、〈ガンキヤノン〉がろくに動けず、「う〜ん、ドジでノロマな亀だ」というのを『パトレイバー』に求めてきたんだろうから、あの『DNK』はずっとファンが望んでいた理想の実写化なんだろけどさ。

しかし、にしても、あれを劇場で見るのって尊敬すべきことなのかな。伊藤計劃という人が、何を好んでゴジラ映画なんかカネを払って見に行ったのか、あの本はそれが不思議とおれは思ってしまったのだが……。


(付記:最初のページと、あと他にも、〈やおい〉を〈やよい〉と書いていたのがあったのだけど、今では書き直している)

(付記2:《SFX》が《FSX》の誤記であるのに疑問の余地はないと思うが、しかし疑問に感じるなあ。〈FSX問題〉なんて今では普通の人間はまず覚えていないだろうが、99年に指が滑れば気づいて指摘する者がいてもよさそうに思える。ひょっとして元のログには《FSX》と正しく書いてあったのに、ハヤカワの編集部で勝手に誤りと判断したんじゃないのか?)



作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之