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つだみつぐ
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農薬の話

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2-1.市販のやさいはどれぐらい「危険」か



 
 全ての農薬は開発の時にきびしい毒性検査を科せられている。マウス(小さいネズミ)やラット(大きなネズミ)の他、犬を使うこともあるようだ。
 毒性は急性毒性(一度に大量に摂取した場合)・慢性毒性(毎日少しずつ摂取した場合)・発ガン性・内分泌攪乱性などに分かれる。このうち慢性毒性と発ガン性についてはその農薬を毎日定量与えて害が出ない体重1kgあたりのぎりぎりの値を求める。この値に1/100(安全係数)をかけたのをADI(1日許容摂取量)という。単位はmg/kg/day。つまり体重1kgあたり、1日何mgまで毎日摂取しても大丈夫か、という数字である。1/100の根拠は?人間と実験動物では違いがあるだろう?人によって化学物質に対する感度は違うだろう、という推測に基づき、それでもこれぐらいしておけばまあいいだろう、ということらしい。要するにかなり安全を見込んであるということである。このADIをもとに残留基準(その農薬が農産物にどれだけ残留してもよいか)が決まり、それによって(分解性を考慮して)散布の基準(希釈倍率や出荷何日前までかけてよいか)が決まる。他に魚毒性などを考慮するが、ここでは省略する。
 実際に毎日の食事を通じて日本人がどの農薬をどれくらい摂取しているのか、その量はこのADIに比べてどの程度なのか、これは厚生労働省が調査してネットでも公開している。普通の日本人の食生活を推測して店頭で購入し、それを全部すりつぶして農薬(よく使われる21種類)を検査する、という方法である。平成14年のデータを見ると検出されたのは5つの農薬で最大でもADIの1%を超えない。(下記サイトによる)
 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/dl/040621-1b.pdf 
 たまに「残留基準を超えた農薬を検出」との報道がある。しかしその頻度は低い。実際の数字にあたってみよう。平成13年度の数字で、まず農薬が検出されたのは、全国合計で約53万件の調査で国産品917件輸入品1,759件あわせても0.50%、残留基準を超えた(つまり違法)のは約23万件の調査で国産品で8件、輸入品で21件、足しても0.01%強である。(調査数が異なるのは農薬には残留基準のないものもあるから)
 この2つのデータから、普通に農産物を購入して残留基準を超えた農薬を摂取する可能性はきわめて低いし、加工品を含めても普通に暮らしていて農薬による健康被害が出ることは考えにくい。要するに摂取量がごく僅かなのだ。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/040621-1.html
 ずっと前(多分20年ぐらい前)大阪である女性の死因が「慢性農薬中毒」であった、という報道があった。この女性は健康のために市販のやさいを大量に買い込み、毎日自作の野菜ジュース(青汁)を飲んでいたということだ。しかし詳しい報道がなかったので死因の判断の根拠(農薬摂取量の計算など)は不明だし、私の知る限り「消費者の農薬中毒」の報道は他に1件もない。

作品名:農薬の話 作家名:つだみつぐ