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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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帰れない森 神末家綺談5

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想いを追って



静かだ。ここが地下だからだろうか。時間が止まっているかのようだ。伊吹は顔をあげて、文机に置いてある紫暮から借りた腕時計を見る。根を詰めすぎてはいけないと、数回忠告をしたあと、紫暮が伊吹に託したのだった。確かにここにいると時の流れを忘れてしまう。

(11時か・・・)

今日も朝から書庫に篭っている。洞窟は涼しくて、風もなく快適だ。しかし無音で、生き物の気配が感じられない。たぶん、ものすごく集中してないと気がふれてしまうのではないかと伊吹は思っている。

(書物と同じように、この場所自体もひとを選ぶんだろうな)

文机に積み上げた書物や紙の束。その山を見て、伊吹はため息を落とす。

二日目、収穫は芳しくない。
呪術書、日記、記録・・・。いつの時代に書かれたかもわからない書物に手当たり次第目を通している伊吹だが、欲しい情報は手に入らない。歴史的に有名な事件に関わったお役目の手記や、呪術や退魔法のなりたちについての研究なんかはすごく面白いのだが、それは伊吹のほしい情報ではなかった。

疲れた。読むのにものすごく頭も使うのだ。

ここにある書物は、殆どが明治以前に書かれたものだ。いわゆるくずし字で書かれているものが多い。さらに古文書と呼ばれるものは漢字のみで書かれており、さらにそれを崩してあるのだから読むのは大変だった。くずし字の読み方や翻刻は、お役目になるための勉強のひとつとして穂積から習ってはいたが、これは結構こたえる。

(だめだ、集中力きれた)

伊吹は畳みにごろりと寝そべり、つやのある岩肌の天井を見つめる。