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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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帰れない森 神末家綺談5

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終わりのはじまり



月が出ている。異常なくらい大きい。見たこともないくらいだ。不気味なのに、その美しさに引き込まれてしまう。伊吹(いぶき)は一人。それを見上げている。
ここは暗い森。月明かりに作られる木立の影が、足元に奇怪な模様のような影を落としていた。

風が、ない。虫の鳴き声もしない。静寂。
広大な森に立ち尽くし、伊吹はじっと立ち尽くす。足が竦んでいるのがわかった。怖くて怖くてたまらない。この先に進んではならないと、本能が警告している。にも関わらず、森の奥へいかなければと渇望している矛盾。それが、恐ろしい。

行ってはいけない。
この先にあるものを見てはいけない。

わかっているのに、足が草を踏んで先に進む。青白い月の光に誘われるように、命の存在を感じさせない森の奥へと。

「いけない」

呼び止められ、心臓が止まるかと思うくらいに驚いた。恐る恐る振り返ると、白い装束に身を包んだ者が、唐突にそこに立っていた。髪が、異様なくらいに長い。腰元に届こうかという黒髪が、その人物の顔を覆い隠している。

「そのさきは、いけない。いってはならぬ」

声に、聞き覚えがあった。白い装束の裾から、すうっと手が上がる。枯れ木のように痩せこけた手首。その指先が、森の奥を指す。

「このさきにいってしまえば、」

俯いていた顔がこちらを見る。

「怖いものを、みるぞ」

それは瑞(みず)だった。能面のような無表情が伊吹を見つめている――