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アナザーワールドへようこそっ!  第二章  【036】

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  【036】



「すまん、ハヤト…………説明が遅くなってしまって。いろいろと伝えたいことがあるんだが、とりあえず今は、必要なことだけを話す」


 アイリが『エチケット的なルーム』で『化粧直し』をしているこの時間を使って、シーナが一気に説明モードに入った。

 て言うか、シーナが…………『素のキャラ』に戻っていた。

 俺は、シーナに、『どうして素のキャラに戻ったんだ?』と聞くと、『……まあ、気にするな』と簡素な一言だけ告げて、すぐに話を始める。

「……ハヤト、まず最初に、わたしたち二人が『南地区(サウスエリア)出身』とした理由なんだが、これは『メモ帳』に書いてあった指示なんだよ」
「『メモ帳』に……?」
「ああ」

『メモ帳』か…………確か、シーナが『神』から渡された『この世界(アナザーワールド)の取扱説明書(トリセツ)』みたいなものだったっけ。ということは、この『南地区(サウスエリア)出身とする指示』は『神の指示』ってことか?

「……そこには、この『南地区(サウスエリア)の特徴』と、わたしたちが『南地区(サウスエリア)出身とする理由』が書いてあったんだ」
「『南地区(サウスエリア)出身とする理由』……?」
「ああ。そして、その理由が、この『南地区(サウスエリア)の特徴』と結びついているんだが、とりあえず、そこはまた今夜、会って話すから、今はまず『南地区(サウスエリア)出身とする理由』について聞いて欲しい。これはまず、今のお前に即、頭に入れてて欲しい情報なんでな。そして、話を聞いた後は、またわたしに話を合わせて欲しい」
「……わ、わかった」

 シーナがチラッと『エチケット的なルーム』を向き、アイリの気配を確認…………まだ戻ってはこなさそうだと判断し、また話を始める。

「まず、わたしたちが『南地区(サウスエリア)出身とする理由』は、それが『神様の指示』だったというのと、もう一つ、この南地区(サウスエリア)には…………わたしたちと同じ『媒介役(メディエーター)』が存在するから、というのが理由だ」
「!?…………えっ!? お、俺たちと同じ、『媒介役(メディエーター)』が……いる?」
「……そうらしい」


……らしい?


「そ、それって、つまり、俺たちよりも前にこの世界(アナザーワールド)に転生した魂ってこと?」 
「……ああ、そのようだ」


……ようだ?


「じゃ、じゃあ、その『先輩』に、いろいろこの世界(アナザーワールド)のことを聞き出すことができるんじゃ……」
「……ああ。むしろ、そいつは『そのための存在』らしい……」


……。


「そ、『そのための存在』?」
「つまり、わたしたちに『この世界の情報提供をしてくれる存在』ということ……なのだろう」


 シーナは、俺の目を見て説明するのではなく、少し、暗い表情で、天井を見上げながら説明をした。


「…………シーナ」


 シーナの様子が…………おかしい。


「お、おい、シーナ。お前、何かあったのか?」
「!?…………な、何がだ?」
「何がって…………何だか様子が変だぞ。それに、さっきから『……のようだ』とか『……らしい』とか、そんな『不確定な表現ばかり』だし、もっと言うなら、『その神様の指示に納得していない』……そんな風に…………見える」

「!?…………は、隼人」

 シーナは、俺に少し驚嘆の顔を浮かべ、フッと微笑…………しかし、すぐまた元に戻り、

「隼人、それはお前の勘違いだ。…………とにかく今は、それよりも喫緊に必要な情報の説明を優先する」
「……わ、わかった」


 そう告げたシーナの顔は、さっきとは違い、少し表情に明るさを取り戻しているように見える。

 とは言え、まだ落ち込んでいるのも事実。

 シーナと神との間で、やはり、何かあったのだろうか?

 もしあったとするなら、考えられるのは、おそらく…………この『南地区(サウスエリア)』の件だろう。

 実際、この話をしてからだ…………シーナの表情が暗くなったのは。

 何が理由かはわからないが、とにかく、こんなシーナの顔を見るのは…………嫌だ。

 だから、今夜、会った時にでも、改めて、その件に関してシーナに問い質してみよう。


 シーナの説明は続く。