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開けてはいけない

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その日、俺は学生時代からの友人の加治と池袋の居酒屋で飲んでいた。
俺と加治は大学の同じサークルに所属していたのだが、共通点が多かったこともあって気が合い、大学を卒業した後も頻繁に会って飲む仲間だった。
俺たち二人の酒の場では、仕事や遊びの話などもよくしていたが、一番話題に登るのは、オカルト系の話だった。これは俺たちの共通点で、俺も加治も、霊だとかオカルトだとか言ったものを、一切信じていなかった。だから二人で飲んだときには、世間で話題になっているオカルトや霊だとかの話題をコケにして盛り上がるのが常だった。
その夜も同様で、話題は仕事や遊びの話から、いつしかオカルト系の話に移っていた。
「この前のテレビの『○○』見たか?」
加治が俺に尋ねた。『○○』とは、お笑い芸人がひな壇に並んでいろいろな話題で盛り上がるバラエティ番組だった。その番組は、留守録してあったはずだった。
「ああ、あれはビデオで録画してあるけど、まだ見てないな。」
「見てみろ、おもしろいぞ。『○○』の中で、自称霊能力者の葛城とかいうやつが出るコーナーがあるだろ。」
葛城とは、霊能力者というよりスピリチュアル・カウンセラーと自称している怪しげな中年の男だった。いつも和服を着て、ゲストの守護霊とやらを透視してみせるのが売りだった。だいたい守護霊はゲストの死んだ親族で、生前のエピソードを言い当ててゲストを驚かせるのが、番組を盛り上げる見どころになっていた。
「それでなあ、今回は女性アイドルの沢村杏子がゲストだったんだけどな、葛城のやつ、なんとまだ生きてる沢村の親父の霊を呼び出しちゃたんだ。」
「まじかよ。詳しく教えてくれよ。」
俺は身を乗り出した。元々葛城とかいうやつはうさん臭くて嫌いだった。そいつがやらかした失態の話だったら、ぜひ聞いてみたい。
作品名:開けてはいけない 作家名:sirius2014