終わらないうた
飛べない鳥
遠い記憶
悲しみを泣き叫び
自らの羽を引きちぎり
むしり取った 飛べない鳥
遙か彼方から
飛べないはずのその鳥が
やってきて そっと呼び掛ける
終わったはずの 灰色の世界は
音もなく忍び寄り
たちこめる霧が 全てを覆い尽くそうとする
目の前見えず 恐怖に足すくめ うずくまる迷子
灰色の空の下
凍えながら 一人 悩み抜く迷子
目を閉じて
その苦悩には掛け替えのない価値があったけれど
もう充分
その努力は空を灰色に染めるのだから
もう 終わらせるのよ
生きている最後の時までそんな空の下じゃ悲しすぎるから
悪い夢を見ているの
灰色の空も霧も何もかも
早く夢から覚めるのよ
全てから遠く離れ
心真っ白に
目を開けてよく見るわ
今目の前にあるものを
芽吹きを待ちわびる可愛い蕾
一斉に飛び立つ小鳥達の群れ
緑揺れ輝き
広い広い海が荒々しく波立ち 大歓声を上げている
今 立ち会えた
新しい瞬間を感じたい
風を感じて
まっさらになれ
今 この瞬間ここにいる
ただそれだけに喜びは溢れ
笑顔の輝きにもう
濃い霧は吹き飛ばされてゆく
晴れ渡る青い空に
美しい白い鳥が一羽
飛んでいった
作品名：終わらないうた 作家名：BhakticKarna