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魔王様には蒼いリボンをつけて ーEpisode1ー

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【prologue】



 あたしが暮らしているノイシュタイン城は、海と山のある小さな町に建っている。
 坂ばかりの町で、買い物をしに町に下りれば帰りは延々と上り坂。城からの眺めはミニチュアの街並みの向こうにきらきら光る海が広がって最高なんだけど。

 このお城は陰で「悪魔の城」なんて物騒な呼ばれ方をしていた。
 門扉はいつも閉じられていて、玄関へと続く前庭には怪しげな怪物の石像が並んでいる。
 ガーゴイルって言ったかしら、目がぎょろっと大きくて尖ったくちばしと蝙蝠みたいな羽根を持つアレ。過去の城主の趣味だかなんだか知らないけどかなり趣味が悪い。
 木々も庭師が入って剪定してるわりにはおどろおどろしいし、夜になると本物の蝙蝠が飛んでいるのまで見たことがある。

 これでは町の人は近寄らない。
 城主にどうにかならないか進言したこともあるんだけど、全然気にしてない様子で……これがなければ最高なのよ。本当に。

 その城主はこの町を含めたここら一帯の領主でもある。
 外見はかなり若い。20代前後ってところ。
 どこかの貴族のお坊ちゃんらしいんだけど、どうしてこんな不気味な城でひとり暮らしをしているのかはわからない。
 黒い髪に深い蒼の目が印象的な彼は、なぜか本名ではなく「青藍様」と呼ばれている。本名はあたしも知らないし、本人曰く全く使わないから忘れてしまった……だそう。
 そんなことってある?


 あ、言い忘れてた。
 あたしはルチナリス=フェーリス。15歳。
 このお城のメイドをしている。