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風のごとく駆け抜けて

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駅伝後のエトセトラ


県高校駅伝2位と言う成績に学校は大騒ぎだった。

最終的な結果は、城華大付属と17秒差。
ちなみに私以外の区間賞はすべて城華大付属が獲得した。

さすが県内最強だ。

桂水高校は一応文武両道を校訓にしているものの、実際は運動関係があまりかんばしくない。

男子テニス部の県内ベスト16が、ここ近年一番の成績だそうだ。

個人だと、私のように県優勝も一、二回あったらしい。
でも団体で県2位は桂水高校創立以来、初めてのこと。

そんな事情もあり、毎週水曜日にある全校朝礼で、私達女子駅伝部は特別表彰式を受けた。

全員で壇上に上がり、校長先生から有り難い言葉をもらう。
壇上から全校生徒を見ると、駅伝の閉会式を思い出す。

2位になった私達は、今と同じ様に全員でステージにあがり、メダルと賞状それに盾を貰った。

あまりのことに全員がガチガチに緊張してしまい、終わったあと永野先生に大笑いされた。

その後、城華大付属のメンバーと話をする機会があった。

「来年は絶対に負けませんからね。そちらは加奈子先輩と桐原さんが抜けますけど、こちらは全員メンバーが残りますし」
笑顔で宮本さんに話す葵先輩。

「残念。すでに来年の大型新人加入が決まってるんだよね」
「それって若宮紘子のことですか?」
宮本さんの発言に、私はすかさず聞き返す。

「いや、残念ながら城華大付属は若宮紘子にフラれたんだよね。阿部監督が勧誘に行った時に『もうすでに進学先は決めてますので、お断りします』って言われたらしいよ」

正直、驚きを隠せなかった。
ナイター陸上で若宮紘子に進学先を聞いておけばよかった。

今更思っても仕方ないが。

ちなみに色々思い出していたせいで、壇上から降りる際に1人だけその場に立ちつくしており、大恥をかいてしまった。

その後はしばらく静かな日々が続いた。

「来年に向けて、まずは基礎体力を作り直そう」
永野先生の提案の元、駅伝が終わってからの練習は走り込み中心のメニューとなった。

11月の中旬、葵先輩と久美子先輩は東京へと修学旅行に出かる。

何があったのか分からないが、修学旅行中に葵先輩はメイド服に目覚めてしまったようだ。

「ほら、お土産に買ってきちゃった。晴美、これからマネージャーやる時は、これを着てやってよ」
カバンからメイド服を取り出す葵先輩。
その先輩自身もメイド服を着ているのだから、もうどうしていいか分からない。

「恐るべし、メイド喫茶」
ため息交じりに久美子先輩が言うが、何があったかは聞いてはいけない気がした。

この後、永野先生が偶然部室にやって来て、葵先輩はこっぴどく怒られていた。