小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

風のごとく駆け抜けて

INDEX|52ページ/283ページ|

次のページ前のページ
 

幻想的な音楽と真っ暗な体育館の中で鮮やかに光るカラフルなライト。
けいすい祭のオープニングはまるで何かのイリュージョンのようなパフォーマンスで始まる。

舞台に光が集まると、そこには1人の女子生徒が立っていた。
我が校の生徒会長だ。

生徒会長があいさつと共に文化祭の開催を宣言する。

その後、駅伝部のメンバーは模擬店に割り当てられた場所へ集まる。
葵先輩はくじ引きで、これ以上無いくらいに最高の場所を引き当てた。

桂水高校は、西側に教室棟。東側に管理棟がある。
その2つの建物の間は50mにも及ぶ渡り廊下で結ばれている。
 
どうも、管理棟の東側にあった教室棟を後から西側に立て直した関係で、距離が少し離れてしまったらしい。

そのおかげで2つの棟の間には幅50m長さ100mにも及ぶ中庭が存在している。

この中庭は東西を建物、南北を渡り廊下に囲まれており、非常に使い勝手が良い。文化祭時にはここがメインステージとなるのだ。

我が駅伝部の模擬店は、その中庭の南西側の角。
メインステージ前と言うこともあり、人通りは抜群だ。

模擬店の中で、晴美と葵先輩が野菜を大量に切り刻む。
相変わらずこの2人の腕はすごく、どんどん野菜が具材に変わっていく。

紗耶と久美子先輩は生地を作ったり、ソースを出したりと、下準備を手分けして行う。

売り子専門となった麻子は、お金の確認をしたり、お皿や箸を準備していた。

ちなみに駅伝部に割り当てられたスペースは、長机を挟んで奥側が調理スペース、手前側が販売スペースとなっている。

そしてこの時、私はと言うと……。

「呼び込みに水着は関係ないと思うんだけど」
無駄な抵抗と分かりながらも、数日前から訴えていることを口にする。

最初は私と麻子で売り子だったはずが、いつのまにか麻子が売り子、私が呼び込みと言う役割になっていた。

しかも私にいたっては、「どうせ、ミスコンで着るでしょ?」と言う葵先輩の一言で、なぜかスクール水着に制服のブラウスを羽織ると言うとんでもない格好だ。

「いやいや、インパクトは大事かな」
一番の親友であるはずの晴美ですらこのありさまだ。

ランパンランシャツでもインパクトはあると思うが、それに対しては3日前に「駅伝部の聖香が水着を着ていると言う事実が実に意外性がある」と言う結論を出されてしまった。

結局この時、もう抵抗は不可能だとあきらめ、大人しく水着を着ることにした。

「なんともすごい恰好をしてるな」
様子を見に来た永野先生が一番最初に発した言葉がこれだ。

「なんか、こう言う姿をした澤野を見ると、思わず胸を揉みたくなるな。まぁ、実際は揉める程胸が無いんだがな」

気が付いた時には、私は左ストレートを永野先生のお腹にお見舞いしていた。
なんとも気持ちのいい音がする。

「うぐっ……。なにするんだよ澤野」
「永野先生が変なこと言うからですよ」
私はわざと拗ね気味の態度をとる。

「客観的事実を言ったまでだが……。って、待て! 落ち着け澤野。てか、お前左利きだからタイミングが取り難いんだよ。おかげで、今もろに入ったし」
永野先生のその言葉で麻子がこっちをじっと見る。

「ああ。だから聖香は走る時、いつも時計を右手につけてたのか。ずっと疑問に思ってたけど、謎が解けた」
いや、約半年間部活で一緒にいていまさら……?

「はいはい。こっちは準備出来たわよ。そこでコントをやる暇があったら、呼び込みもやってね」
「まて、大和。私は別にコントをやってるわけでは……」
葵先輩の発言に永野先生は異議を申し入れるが、聞き入れてもらえなかった。
葵先輩に言われ、私も覚悟を決めて呼び込みを始める。

15分もすると、お客さんが一斉にやって来た。