二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

INDEX|9ページ/98ページ|

次のページ前のページ
 

捜査開始




柏木との話があったあと。
翔太郎、亜樹子、真倉の三人は柏木に書いてもらった地図をたよりに柿崎智子の家へと訪れていた。
「ここ、か」
翔太郎は住所とメモとを照らし合わせる。
そこは何の変哲もない、普通のアパートだった。
「柿崎智子。28歳。風都の風鈴商事の会社員。柏木さんと同じ職場で同期。犯罪歴もなく、まぁ至って普通のOLって感じだな」
今現在まで調べた内容を翔太郎は反芻する。
柏木と別れてからのわずかな時間、それだけで翔太郎は柿崎智子のことを『普通の一般人』であると断定できるまで調べ上げた。
いろいろとフィリップや亜樹子に振り回されがちなところもあるが、探偵としての翔太郎の捜査力は先代同様、街でもトップクラスの技術があった。
「しかし、そんな人間が何故こんな奇怪な誘拐事件なんかに・・・・・・?」
翔太郎の調査結果に真倉は首を傾げる。
それについては翔太郎でも謎が残るところだった。
柿崎智子は本当に裏の世界とは無縁の女性だった。
何か良くない事件に巻き込まれるような『裏の顔』は一切なく、周りの人間とも目立った軋轢はない普通の一般人。
誘拐したトリックも解らず。
動機の面ですら何も痕跡のない、完全で不透明な誘拐事件。
(・・・・・・確かに、この事件は結構難解かもな・・・・・・)
翔太郎はメモを睨む形で考えこむ。
「で、翔太郎くん。これからどうするの?」
亜樹子はこれからの動き方について翔太郎に問う。
「・・・・・・まぁ、とりあえず彼女の部屋まで行ってみるか」
解らない謎はまだまだ山積みだったが、とりあえずは行動を起こすべきだと判断。
翔太郎たちはアパートの大家に事情を話して鍵を借りようとする。
すると大家の老人は不思議そうに首を傾げ、
「あんれ〜? さっきも刑事さんがワシのところへ智子ちゃん家の鍵を借りに来たんじゃが? はて??」
「?」
「?」
「?」
要領得ない大家のおじいさんのセリフに三人も首を傾げる。
「警察の先客、ってことかしら?」
「・・・・・・部屋まで行ってみよう」
とりあえず三人は柿崎智子の部屋を訪れることにした。
彼女の住むアパートの入り口。そこには、
「あ」
確かにそこにはすでに先客がいた。
「照井!」
「・・・・・・」
翔太郎の呼びかけを黙殺する一人の男。
照井竜。
風都署の超常犯罪捜査課の刑事であり位は警視。
刃野と真倉の直属の上司であり照井亜樹子の夫。
赤いレザーの革ジャンと革パンというコテコテのライダースファッションに身を包み、痩せてはいたが"痩躯"というよりも"鋭利"という言葉が似合いそうな引き締まった肉体。
精悍な顔立ちで、その眼光はそれだけで人を屈服させるような、それでいて常に何かに挑戦し続けているような、そんな鋭さとストイックさを放っていた。
「あ、竜くんだ!」
亜樹子は嬉しそうな声を上げる。
「やや、これは照井警視!」
真倉は少し緊張しがちに敬礼をする。
「・・・・・・お前達も、捜査か?」
「ああ、この部屋の柿崎智子さんって人の失踪事件を追っているんだ」
「この部屋の住人は警視がおっしゃっていたSK事件の被害者の一人です」
翔太郎と真倉は今までの経緯を簡単に説明した。
それを黙って相槌を打ちながら聞く照井。
「・・・・・・なるほどな。確かに消えた状況からしてほかのSK事件と同一の犯行とみて間違いなさそうだ。ここはアタリだな」
「お前もSK事件を追っているのか?」
「・・・・・・ああ、2日ほど前に柿崎智子の会社から警察に捜索願の届出があってな。もしやと思って彼女の家に来たらお前達と鉢合わせになった」
「収穫は?」
「・・・・・・今のところはゼロだ。しかしこれだけの大規模の誘拐だ。きっとどこかで犯人は必ずボロを出すはずだ。・・・・・・フィリップの『検索』はどうなっている?」
「そういや、俺達が出掛けにすぐに始めるようなことを言っていたからな。もう何か掴んでいる頃じゃ―――、」
プルルル。
その時、翔太郎の携帯電話型ガジェット、スタッグ・フォンの電子音が鳴る。
電話の相手はフィリップだった。
「お。さっそく何か分かったってことか?」
翔太郎は意気揚々と通話ボタンを押す。
そしてスタッグ・フォンを耳に当てると、
「し、しょ〜たろぉぉ・・・・・・」
今にも死にそうな、それでいてちょっと間の抜けているフィリップの声が聞こえた。