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コボルドの巣



嵐に遭遇すると同時に5人はバトルに突入した。
壁、床、天井に乱反射した音の波が筋肉に叩きつけ、骨を軋ませ、脳味噌を揺さ振り続けている。

 音、音、音。音の嵐。

5人を打ちのめすその音の正体は、悲鳴にも似たような無数の叫び声である。
6つの魔法光が照らすフィールドに確認できる個体数だけでも50体以上。
夥しい数の下等獣が発する巨大な咆哮の衝撃波が空間を揺り動かす。
この咆哮のうねりの大きさから予想しても、闇の中に潜むであろう下等獣の数を合わせれば、その総数は現状で対処できるであろう限界数を超えていた。

5人は獣の巣窟に足を踏み入れ、とたんに嵐の洗礼を浴びたのだった。
耳栓を易々と突き抜けてくる音波は生易しいものではない。
鼓膜の許容を超える音を浴び続ければ、それだけでも体力は消耗する。
肉を突き抜け骨にまで叩きつけられる咆哮が5人の体力を削り、進路を阻んだ。

 突如、安住の巣に踏み込んで来た招かれざる5人の客。咆哮での威嚇は下等獣にしてみれば当然の応戦である。小柄な姿からは似つかわしくない音量の奇声。それぞれの個体が違う音域で咆え始めると、まるで楽団のように一体化し、不快極まる不協和音の嵐を発生させた。聴覚の鋭い獣がこの咆哮に出会えば、たちまち泡をふいて失神するような集合音波。


__【コボルド】
 下等獣。身長は100cm程度。2足歩行のコボルドはスライム等と同じく冒険者が最初に出会うであろう浅階層から出現する獣の一種。知能も攻撃力も低く、基本的には冒険者の弊害になるような存在ではない。単体で行動することは少なく、小さな群れであっても必ずリーダー的な固体が存在している。バトルに於いてはリーダー以外の固体は特に思考することはなく、目の前の固体の行動を真似てしまうという習性がある。一頭の個体が行動を起こせば後続の個体はそれに続いてまったく同じ行動をしてしまうこの習性は、群れを形成する下等獣にはよく見られるものである。__


咆哮の嵐が5人を直撃してから2分は経過している。
パーティーは防御の陣形を形成しつつ戦士の指示を待っていた。
戦士は盾でコボルドの単純な攻撃を跳ね返しつつ、揺られる脳で思案している。
ここは地下4階である。
3階のフロアに上がればダンジョンのレベルは一気に下がる。
とにかくこのフロアさえクリアすれば地上に生還する見通しが立つ。
残りの魔法が少ない中で、このコボルド相手に消耗するわけにはいかない。
いかに消耗を抑えて切り抜けるか。
数から見ても逃走は不可能。
有効な打開策が見当たらなければ、選ぶ道はそう多くはない。
何もせずに考えていても体力は奪われてゆく。

戦士は右手のカシナート剣を地に突き刺し、その空いた手で手話を使った。
4人はその指示を理解し弓型の陣形を形勢すると、侍は唯一人前方のコボルドの群れの中に切り込んだ。