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つかのまの永遠†コバルト短篇集

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『ねじまきララバイ』



 夏休みだっつーの。おまけに、どんな仕事熱心な農家だっていい加減引き上げるであろう午(ひる)近く。何が悲しゅうてタオルを頭に巻き、身体中からダラダラ汗流してだだっ広い庭で草むしりなんかしてるんですか俺。ハイ、それは自業自得というやつです。合掌。
 汗でびっしょりぬれた背中を、パワー全開の太陽がこれでもかとばかりに容赦なくジリジリ焼いてる。焦げるっ、焦げるぅぅっ。俺になんか恨みでもあんのかコラ。
 ああ、もうメルトダウン寸前。死ぬ。
 ガーデニングなんてオサレなもんじゃない。単なる労働。しかも駄賃も出やしねぇ。
 草むしりなんて早朝やればいいって?
 そんくらいわかってるさ。しかしねぇ、高一の男子が夏休みに早起きなんかするわけねーじゃん。暑さのあまり目が覚めたくらいだぜ。加えて蝉の大合唱。暑苦しいったらない。
 くそっ、汗が目に入った。軍手の甲で目をこすり、ついでに汗まみれの額もぬぐう。瞬間、眩暈がした。青臭い草いきれと熱気で頭が朦朧としてくる。
「あンのクソババァ、クソババァ……」
 はびこる雑草を力任せに引き抜きながら、呪文のごとく際限なく。どうも目が据わってきたような気がする。そろそろ限界っぽい。
 しかし期限は明日まで。そして庭は広い。サラ地にして分譲したら三軒くらいはゆうに建つ。まったく、古いだけあって無駄に敷地をとってやがるぜ。言っておくがここはもともと俺んちではない。クソババァの持ち家だ。
 つい二か月前まで会ったこともなかった(つーか、とっくにくたばってるものと思ってた)父方の祖母。なんでも親父が母さんと結婚して死ぬまでのあいだずっと音信不通だったとか。よっぽど母さんが気に食わなかったのだろうが、いっそ天晴れなほど頑固なババァだ。あん畜生めぇ。


『私が戻ってくるまでに、とりあえず庭をきれいにしておきなさい』
 は? この密林を、っスか?
『庭木は植木屋さんに来てもらうからいいわ。草むしりだけしておいて』
 だったら草むしりも植木屋にやらせろよババァ。――と、心の中でスゴんでみる俺。
『一週間あるんだから、毎日少しずつやればどうってことないでしょ。若いんだし。規則正しい生活のためにもいいと思うわ。早起きして朝のうちにやらないと暑くて大変よ』