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ゆらのと

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第二部 十三、


カーテンを左右へと引くと、朝の清らかな光が薄暗い部屋へと差しこんできた。
窓は大きく、上方はゆるやかな弧を描き、窓枠には繊細にして華やかな装飾がほどこされている。
硝子越しに、桂は外を眺める。
広大で、綺麗に整えられた、緑ゆたかな庭園が見える。
その美しい光景に眼を楽しませつつ、桂の頭の中には別のものが浮かんでいた。
銀時の姿だ。
外がこんなふうに明るくなる少しまえに、銀時はこの部屋から出ていった。
出ていく直前、抱きしめられ、唇を重ねた。
その力強い腕から、放したくないと思っているのが伝わってきた。
心配されているのだと思う。
それは夜にも感じた。
無理もない。
夜、この屋敷の主からされたことで自分はすっかり取り乱していた。
そして、その動揺を、銀時にぶつけてしまった。
あれでは、銀時がひどく心配するのは、あたりまえだ。
どうしようもなかったとはいえ、自分の言動が恥ずかしくなり、反省する。
しかし。
朝だけではなく夜も含めての銀時とのことを思い出すと、心がゆるむ。
抱かれたときの感触が肌によみがえり、見つめられたときの眼差しが胸に浮かんだ。
なんだか、ぼうっと夢見心地になる。
身体が少し火照ってくる。
いやらしいな、自分は。
こんなすがすがしい朝に、そんなことで頭をいっぱいにして。
そう思った。
けれども。
肌によみがえってきた感触は、性的な欲求を刺激するだけではなく、温かいものに包みこまれているような安心感を与えてくれる。
思い出して、幸せを感じる。
ふと。
部屋の扉が廊下側から軽く叩かれる音が、した。
ハッと、桂は現実に引きもどされる。
トアラだろう。
そう思い、窓に背を向ける。
扉のほうへ行く。
だが。
少しして、扉が開き、部屋の中に入ってきたのはトアラではなかった。
トアラより少し年上といった感じの女の使用人だ。
その手には、桂用の着替えらしきものがある。
いつもならトアラがそうしたものを持ってくるのに。
桂は戸惑う。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio