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ゆらのと

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第二部 十一、


噴水のあげる水しぶきがキラキラと輝いている。
道として白い砂が敷き詰められている横には、草木が活き活きとした緑の葉を広げている。色とりどりに花々も咲いている。
その植物の名を、銀時は知らない。
噴水の向こうには四阿が見えた。塔のような高く尖った屋根は鮮やかな橙色で、白い柱には様々な色を使って文様が描かれている。
全部を見てまわると疲れてしまいそうなぐらい広い庭だ。
それにしても、暑い。
背中を汗が流れ落ちるのを感じる。
太陽に似た強い光を放つ星が空にあり、それは天頂をすぎていたが、まだ暮れるには早い時刻であるらしい。
ふと。
「山」
背後から、少女の声が聞こえてきた。
「田太郎」
意味ねェよなァ、と思いつつも、銀時は合い言葉を口にした。
「よし、こっちに来てもいいアル」
えらそうに神楽が告げた。
銀時は身体の向きを変え、声の聞こえてきたほうに行く。
こんもりと葉を茂らせた低木が塀のように続いている。その陰に隠れるように、神楽と新八が座っていた。
神楽は豚耳と豚鼻をつけ、新八は頭に皿を乗せてカッパのような格好をしている。
そんなふたりの姿を、銀時はゴーグル越しに見る。髪は鶏のとさかのような赤色だ。
三人とも、変装をしている。
宇宙海賊にまぎれこむためにしかたなくやっていることだ。
銀時はふたりの近くに腰をおろした。
「……元気か」
そう聞いた。
「はい」
新八が返事した。その隣で、神楽がうなずく。
地球から離れる際、銀時はふたりよりも先に宇宙船に乗りこんだ。それ以来、たまにこうして密会する以外、基本的には別行動をしていた。
なにしろ敵である宇宙海賊ばかりの船で宇宙空間に出て地球から遠く離れた星に来たのだから、自分たちがまぎれこんでいることが露見するのは非常にマズい。
敵には面が割れているし、三人組であることも知られている。
できるだけ、バレる要素を無くしたかった。
「ここの警備、かなり厳重ですね」
「ああ、そーみてーだな」
新八の意見に銀時は同意する。
簡単には逃げられそうにない。
それは桂も言っていたことだ。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio