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ゆらのと

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第二部 八、


男が勢いよく飛ばされ、派手な音をたてて道に倒れる。
道には、その男以外にも三人、倒れていた。
その四人を倒した張本人の銀時は、木刀を手にして悠然と立っている。
四人と銀時が争い始めてから、たいして時間はたっていない。
実力に大きな差があるのは、はっきりしている。
それを身をもって知った男たちは、顔を引きつらせながら、身体を起こした。
「く、くそッ……!」
男たちは立ちあがる。
「おぼえてろ!」
そう吐き捨て、しかし、慌てふためいた様子で身をひるがえし、脱兎のごとく去っていく。
「んな汚ェツラ、おぼえてたくねーよ」
銀時は逃げる男たちの背中に向かって言った。
「って、聞いてねーか」
ぼそっとつぶやき、木刀を腰に差す。
「あの」
声をかけられた。
銀時はそちらのほうを見る。
十代後半ぐらいの娘がいた。
娘は銀時と眼が合うと、深々と頭をさげた。
「助けていただいて、ありがとうございました!」
「あー…」
さっき、あの四人と争ったのは、この娘があの四人にからまれているところに通りかかったからだった。
あの四人はこの娘を無理矢理どこかに連れ去ろうとしていた。
銀時は手を首筋にやり、ボリボリとかく。
「イヤ、別にアンタを助けたわけじゃねーよ。ちょっと腕の運動してたら、その腕がアイツらに当たって、ちゃんと謝ったのによォ、アイツらがケンカふっかけてきたんで、しょーがなく、相手してやっただけだ」
もちろん、腕はわざと当てた。
すべて助けるためにしたことではあったが、恩義を感じられるのは面倒くさい気がした。
しかし。
「でも、おかげで、助かりました。だから、なにか、お礼をさせてください」
娘は食いさがった。
その眼はひたむきで、全身から純粋な好意が漂っている。
どうすればいいか。
それを考え始めたとき。
「銀さん」
背後から、名を呼ばれた。
振り返る。
そこには、お咲がいた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio