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エイユウの話 ~秋~

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それはただの物語だった・1


 秋祭りが始まった。二日間開催されるのが一般的な秋祭りで、四人は二日間とも、午前中だけ働くことにした。しかしアウリーを除く三人は模擬試合への参加が義務付けられているので、結局遊ぶ機会は二日目の午後しかない過酷な祭になってしまったのだが。
 仕事場に着いたキートワース・ケルティアは、秋祭りのパンフレットを開いた。パンフレットには事細かに催し物が記されていて、どんな素人が来ても迷わず目的のものが見られるようになっている。一年生には、ありがたいことだ。
 自分の屋台の場所を確認した。屋台は学校全体を取り巻く道に沿って並んでいる。そのため、見つけることはそれほど大変ではなかった。模擬試合の会場に目を向ける。それから無意識に、ラジィとアウリーの働くカフェテリアに目を移した。食堂以外の唯一の飲食の場となるそこは、とんでもない人でごった返すこと間違いなしだ。彼としては、それが少し心配である。
 状況だけ言えば、二十分の休憩時間があるキース達が、ラジィたちのところに様子見に行くことは可能である。が、彼には行けない理由があった。
 結局、仲直りが出来なかったのだ。
 もちろんアウリーやキサカが諦めたわけではない。仕事が合流してから、仕事のときも食事のときも、四人での行動を心がけていた。が、一緒にいれば勝手に仲直りできるものでもなく、二人とも気まずい雰囲気のまま、一言も会話せず今日に至ってしまった。
 泣きそうな顔で、度胸のない彼は嘆息した。憂いている、という表現を使うにふさわしい姿だ。秋祭りが始まってにぎやかになった雰囲気に対し、それはかなりミスマッチな光景だった。
「・・・気にすんなら、仲直りすりゃいいのに」
 隣で来たばかりのキサカ・ヌアンサが、その陰鬱とした雰囲気にあきれる。もう遅刻ぎりぎりだというのに、ずいぶんと余裕だ。当たり前のことを言われ、全員に配られた帽子を深く被る。昼同様、こういうときだけは無視されないのだ。それは彼にとって嬉しくもあるが、今回に関しては面倒臭さもあった。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷