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サイコ・PASS 火星開拓

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火星基地・脳にチップを埋め込まされる



 火星基地に到着すると自殺や殺人防止のため脳内ナノマシーンを注射される。粗暴な性格が緩和される。攻撃性がなくなる。ただ働くための人間になる。

 22世紀中期、火星に地球から送られるウイルスセキュリティソフトが頻繁に送られる。コンピューターの技術がある限り、悪質なハッカーとの知恵比べが繰り返し続けられるだろう。イタチごっこを永遠に続ける。

 さらに人間の思考力を超えたAIコンピューターで、殺人プログラムが送り込まされる。だから、ウイルスセキュリティソフトは気休めにならないが、努力し続けなければならない。

 火星という環境は過酷である。宇宙放射線による細胞の破壊。老化が早い。体力が衰える。40歳まで生きられる人は、ほんの一部だけである。いじめられっ子が、自分よりも弱いいじめられっ子をいじめ続ける。その結果、殺人もあれば自殺もある。数ヶ月で半数の人が、殺人や自殺で死ぬ。


 富裕層は多くの情報を知っている。だから、ほとんどの家庭では、いじめ皆無の私立学園に通わせる。公立学校があるのは貧民街だけ。科学技術の進歩から取り残されている。1970年代と同じレベルの生活をする。当然、個人を認識する体内に埋め込まされたIDチップ以外、コンピューターとの接点はない。

 体内IDチップとは、個人の感情を常に記憶する。通信ができる場所でデーターを送る。社会に不適応な人間は、朝鮮半島の工場へ送られる。皮肉な話し、電脳化という最先端技術のお世話になり、脳を操作され、人格も感情もコントロールさせられる。

 人間の脳が、大企業の経営者に勝手に操られ、人格も幸福感も征服される未来社会。幸福とはなんだろうか?魂はどこにあるのだろうか?