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カムイ

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鈴との出会い


 夏が来ると、ひと仕事を終えるたびに川に飛び込み、水の中で作業着を脱いでササッ、とすすいで木に引っかけておき、真っ裸になったままで泳いだ。山からの雪解け水が流れ込んできて、身を引き締めるほどに冷たいが、高い日差しの中で作業をした、火照った体には心地よい。
 岩陰には、紫色をしたカタクリの花が咲いている。
 ここそこではニリンソウの白、フキの黄色、つつじの赤色などが、色どり豊かに咲き競っていた。
 
 もうしばらくすればサケの遡上が始まり、上流のコタンは大賑わいとなるであろう。腹を川底の砂にこすりつけあるいは、背を太陽に焦がすほどに群がった大量のサケを、人だけではなく、熊もキツネもフクロウも、最高のご馳走として待ちわびているはずだ。
 その前に、ここでも少しだけ、おすそわけに預かることにしようか。
 
 太陽に照らされた川岸の草叢では、バッタが勢いよく跳ねている。繁殖力があるのか、日を追うごとに、バッタは増えている気がする。
 そして・・・。
作品名:カムイ 作家名:健忘真実