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超短編小説  108物語集(継続中)

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 エスタジオ・ド・マラカナン、それはメイン・スタジアム。そして今、そこにはリオのカーニバルが再現され、サンバのリズムが轟き渡っている。
 南米初のブラジル・オリンピックは2016年8月5日から8月21日まで17日間開催された。そして今夜、閉会式を迎えた。

 2012年のロンドン・オリンピック以降、準備は加速されたが、なにぶんリオデジャネイロは混雑したメガシティ、そして「リオ人は遊びで忙しい」と言われるほど楽天的な人たちが住む町。世界からは本当に開催できるのかと随分と心配された。

 しかし、オリンピックは成功裏に終わり、このサンバの熱狂の中で幕を閉じようとしている。世界各国の選手たちや関係者たちも己を忘れ、腰を振り熱く踊っている。
 だがそんな盛り上がりの中で、一人涙を浮かべ、歯を食いしばってる女子選手がいる。彼女は日本女子サッカー、さざんかジャパンのメンバー、センターフォワードの高瀬レチーシアだ。

「タカレチ、もういいんだよ、頑張ったんだから」
 キャプテンの宮池が若いレチーシアを気遣い、声を掛けてきた。レチーシアはその心遣いが胸を打ち、思わずキャプテンの胸に飛び込んだ。そして大泣きする。