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日常の非日常

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のん兵衛ではありません



 飛行機に載る機会があった。
 最近、2年に一度は乗ってる気がする。
 初めて乗った飛行機は、ANAのジャンボだった。
 正面にでかいスクリーンがあって、離陸・着陸時に飛行機の真下や真正面が映し出される。
 滑走路の端に、自分の足で移動して、一旦止まり、ちょっと、力を溜めて、ぐん! と、加速。ぎゅんぎゅん加速していって、あるところで、ふわりと足が浮く。
 その一連の動作が、

「位置について。よーい。ドン!」

 って、言われているみたいでいつも笑ってしまう。

 でも、最初は地表から足が離れる感覚が怖かった。
 窓の外を見ていると、ぐんぐん地面が離れ、家も車もどんどん小さくなり、雲を突き抜けていくのを見ていると、

「やめてー>< もういいよ。降りるーっ!!! 降ろしてー!!!!」

 と、心の中で叫んだものだ。
 それが、何度目かの搭乗で、ガラガラ空き空きの座席に、キャビンアテンダントさんのお友達と思われる素敵なお姉さんがやってきた。

 CAさんと軽い挨拶を交わした跡に、席の移動を聞いていた。
「後ろの窓際なんだけど、狭くてさ~」
 と、いう彼女に、CAさんが頷いた。
「いいよ~。どこでも座って。どうせ空いてるし」

 お姉さんは、ありがとうといいながら、窓際のわたしの並びの、真ん中4席のうちの2席分を陣取って本を読み始めたかと思ったら、深々とリクライニングを倒し、寝に入った。
 まるで、新幹線か特急電車のような気安さで。

 そうか。
 飛行機って、そんな気安い乗り物だったんだ!?

 緊張していた筋肉が急に軽くなった気がした。
 こういう心因性のストレスが目に見えてなくなるのを実感したのも初めてで、いや、ほんとに、ストレスってあるんだなぁ。と、へんな感心もした。

 そんな懐かしい話を思い出したりして、旅の途中に食べようと思って機会がなかった、カリカリトリプルチーズ@セブンイレブンを搭乗口で手続きを待ちつつ食べていた。
 そのころの手荷物検査は、簡単だったなぁ。と、思えばその日の手荷物検査のお姉さんのにこやかな笑顔を思い出して、ん? と、思う。
 なんだか、妙に親しげで面白そうな笑顔だった気がして、ちょっとした違和感。
 例えば、友達と同じツボの話を共有してひっそりと笑いあうような、そんな穏やかで愉快な笑顔に見えた。
 なんだろうなぁ。
 (前略)トリプルチーズを、カップの底からはじき出して最後をつまみ出し、カリカリと食べ終わる。
 ぽこっとそれを潰してゴミ箱に立った時。
 そういえば、と、思い出した。
 お姉さんが検査してくれたその鞄には、お土産の焼酎が入っていた。
 重いから荷物に入れて送るといったら、確実に割れるぞ。と、言われたもので、仕方なく手荷物にした、その焼酎が!
 そして、同じ鞄に、食べ終わった(前略)トリプルチーズ!
 まさに、お酒とつまみの取り合わせ!!
 機内で宴会が始まりそう!?

……だからって、あんなに生暖かい目で見てくれなくたっていいのに……。

 余談ですが、ワタクシは、下戸です。
 普段から、蛙さんのようにゲコゲコ鳴いてます。
 そう。
 醗酵した梅シロップで酔っ払う人なんです。

          (了)

作品名:日常の非日常 作家名:紅絹