二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

DRRR  BLOOD!!

INDEX|10ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 

真祖ノ姫対池袋最凶



平和島静雄は決して志貴を狙ったわけじゃない。
彼の大嫌いな人間、折原臨也が現れたので反射的に近くにあったゴミ箱を投げたら案の定避けられ、それが偶然志貴の方向に飛んでいったというわけだ。

ヤバイ!

そう感じて声を出そうとしたらゴミ箱は金髪の女性に蹴り返されて戻ってきた。
は?
そう思いながら片手でゴミ箱を受け止める。
ずざざざざ
しかし、衝撃は意外に大きく静雄の体はそこから五メートル後ろに下がった。
―――おいおいマジかよ。
自分以外にここまで力を発揮できる人間がいるとは。

「ちょっと!危ないでしょ!」

女性は当然抗議の声を上げて静雄の方に歩いてくる。
静雄が謝罪をしようと思った瞬間、アルクェイドは静雄の胴体に思いっきり蹴りをいれた。
静雄の体は宙に浮き、軽く五メートルは飛んだ。
周りの観衆は唖然とする。
当たり前だ。
池袋最凶と言われる平和島静雄をあそこまで吹き飛ばしたのだから。
そして、池袋を舞台に暫定人類最強と真祖の姫との決戦が幕を開ける事となる。

「ってえだろーがコラアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

静雄は起き上がると同時に近くにあった標識を掴む。
そして、それをいとも簡単に引っこ抜いた。

『っえええええええ!?』

静雄の怪力を初めて見る志貴たちは当然驚愕する。
少なくとも人間でここまでできる人物は見たことが無い。
さらに、静雄はそれを槍でも投げるかのようにアルクェイドに向かって投げつける。
アルクェイドはそれを難なく避け、静雄に向って一直線に駆け出した。
静雄は絶好のチャンスとばかりに拳を突き出したが、アルクェイドはまたも難なく避け、爪で静雄に下から斬り付けた。
静雄の服が裂ける。
しかし・・・。
―――手応えが無い!?
アルクェイドは普段志貴相手にやるような加減で斬り付けたが、アルクェイドの爪は静雄の体に切り傷をつけられなかった。
手加減していたとはいえ、真祖の攻撃が通らない。
静雄は死徒より強い。
アルクェイドはそう判断し、一切の加減は不要と考えた。
そして、それからアルクェイドと静雄は壮絶な接近戦を始めた。


―――アルクェイドのヤツ・・・。
志貴は心底頭が痛い。
これでもうアルクェイドは人間ではない事はほぼバレたと言っていい。
しかし、あの金髪バーテン服の男は凄い。
あのアルクェイド相手に互角に戦っている。
さらに、志貴が食らったら間違いなく全治三日の爪による攻撃もあの男にはびくともしない。
「シエル先輩。どうします?」
「・・・こうなってしまった以上、色んな物の修理は教会が受け持ちます。
 それより、何とかしてあのアーパーを止めないと」
今のアルクェイドは下手したら空想具現化も使いかねない。
「あのバーテン服の方に加勢したらいいんじゃありませんか?」
「いや、そうすると私達の秘密を池袋のど真ん中でばらす事になりますからねぇ」
志貴としても後が恐いのでどちらかに加勢だけは避けたい。
あのバーテン服の男を倒すわけにもいかない。
と言うより倒せるのかあんなの?
見た限りロアより強そうだ。
―――これが池袋か・・・。
見るとアルクェイドはジャンプして空中から静雄に攻撃を仕掛けていた。
それに対し、静雄は避けて殴る。簡単に言えばカウンター。
アルクェイドは地上に降りて下からの斬撃、蹴り、横からの斬撃。
静雄は防御している。
ただし、アルクェイドは静雄を代行者か何かだと思っているので加減はしていない。
幸いなのは昼間なので少し弱体化してることだろう。
静雄の体に切り傷が増えてきた。
一方のアルクェイドは殴られた痕の痣などが所々目立つ。
その戦いに遊馬崎なんかはもう興奮して我を忘れており、時々狩沢と共に謎のカタカナの単語を叫んでいる。
とにかく何とかしないと。
アルクェイドはもう、眼がヤバイ。

「…人間でここまでやる奴がいるとはね」

やばーい!
アルクェイドのヤツ早くも人外宣言しやがった~!
まずい、まずすぎる。
「先輩!秋葉!何とかしてくれ頼むから」

「はあ…セブンがいれば良かったんですけどね…」

「…いきなり一般人の前で檻髪使うことになるとは」

もはや人外であることを隠すのは諦めたらしく、シエルは火葬式典の準備を、秋葉は檻髪の用意を始めた。
「お前の彼女、スゲエな…」
正臣が志貴を心配する眼で見る。
「ああ、もう毎日大変だよ…」
「夜は激しいだろ~な~」
「正臣…」帝人のツッコミが入る。
そんな中、門田は冷静だった。杏里は言葉すら出ないと言うのに。
「お前の彼女か?
 あの静雄とここまでやりあえるなんてすげーぞ」
「ふっふっふ。
 門田さんといいましたか?
 逆です。アルクェイド様と渡り合える静雄さんがすごいんです!
 アルクェイドさんは見ての通り人ではありません!
 その気になればこんな町一つあっという間にぶっ壊せます」
「マジで!?」
そう。
簡単に言うとアルクェイドに勝てる人間は未来永劫存在しない。
いくら静雄と言えど、空想具現化などに勝てるわけが無い。
しかも彼女は普段吸血衝動を抑えるために30パーセントの力で活動している。
つまり、本気は出していない。
しかも、30パーセントの時点で既にサーヴァント二体分の強さがあるため、それと互角に戦える静雄はサーヴァントより強いことになる。
静雄を止められるサイモンも同じくらいのレベルだろう。
そんな怪物が死闘を繰り広げる中、志貴は覚悟を決めて眼鏡を外した。

「やるしかないか…」
さよなら先生。あの時はお世話になりました。
本気で心からそう思った。

しかし、その戦いは意外な形で決着がついた。
飛び出してきた一匹の猫によって。

「おわっ!?」
静雄は目の前に飛んできた猫を見て拳を止めた。
その猫には黒いリボンが巻いてあるため、アルクェイドはすぐに気が付いた。
「あれ、レンじゃん。どうしたの?」
「…お前の猫か?」
「うん、着いて来ちゃったのかな?」

―――今しかない!

とある池袋の人外戦争を解体しようと一同は駆け出した。
志貴はアルクェイドに声をかけ、シエルは営業スマイルで、秋葉は金で静雄に詫びた。
こうして、下手したら聖杯戦争よりたちが悪い戦いは周りの観客が白ける中、終わった。

作品名:DRRR  BLOOD!! 作家名:蔦野海夜