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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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うこん桜の香り

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昭和から平成と年号の変わった初秋、西山明は左目の視野が狭くなり、網膜剥離と診断された。
その日のうちにG医大病院に入院した。
アイマスクで目を覆われ、砂袋で頭を固定された。身動きもできず、ベットに寝ているだけである。
闇の世界で体が動かないと、余計なことばかりを考えていた。
夜になり、病室が静かになると、同室の患者のいびきでさえ安心させられた。
そんな明を勇気ずけてくれたのは、水田百合であった。明は手術を待つ3日間の間、二十歳の青年のように百合に恋をした。
手術が成功して最初に見る者が百合であることを願った。
作品名:うこん桜の香り 作家名:吉葉ひろし