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エイユウの話 ~春~

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それが彼らの運命だった・1



 アレから二日が経った。昨日はキサカには会わず、キースは少し落ち込んでいる。彼に出来た初めての同性の友達なのだ。話したいことは山ほどあった。
 ただでさえそんな気分なのに、更に朝一の授業が戦闘学というのは本当に骨が折れる。正しく言えば、「今日も一日頑張ろう」という意欲がそがれてしまうのである。
 戦闘学は、使用魔術学、魔術暦学と並ぶ三大魔術授業の一つだ。一番の危険性があるにも関わらず、全授業でトップの人気を誇る。中でも、月一回で行われる他魔術との合同戦闘学は、怪我人が続出するにも関わらず、欠席者ゼロを保っている。それ以外で他魔術と対戦する経験が、法師になってからも皆無と言っても良いくらい無いというのが理由だ。むしろ、法師になるまでは関わらないといっても過言ではないだろう。
 今日受けるのは、地(ち)と緑(りょく)の合同戦闘学である。それが行われる地の闘技場に、キースとラジィは今しがた到着したばかりだった。ちなみに彼等はここに来る途中でばったり会ったのである。
 闘技場といっても、闘牛だとか、格闘技のリングとは少し違う。中央に四角形のステージがあり、そこで二人の術師が戦うというところまでは一緒だ。しかし、建物の基本はすり鉢状であり、中央の空間にステージがあるという構造になっていた。ステージのすぐ近くに医務室が存在するところも普通とは違うだろう。また、ステージには壁はもちろんワイヤーすら張られていない。代わりに流(りゅう)の準導師たちが、魔術で壁を作り上げている。ちなみに彼らは生徒がステージを壊した際に、流の魔術を用いて修繕したりもする。
「・・・をお願いします。また大きな怪我を負った場合は、その者を棄権とし、相手は即時に模擬戦闘を中断してください。軽い怪我でも流の術師たちの実践となるため、医務室に向かうこと」
 治癒を専門とする流の魔術には、単独での実践授業だけでは限界がある。そのため、他の戦闘学に顔を出して、その怪我を治療するという形での実践授業が多い。逆に言えば、合同授業は流の術師の手の空いた時間に行われる事が多いのだ。その方が校法医(こうほうい)が居なくとも補えるためである。
作品名:エイユウの話 ~春~ 作家名:神田 諷