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衝動SSまとめ⑥(ZS)

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※ゾロサン





2012/5/30更新

ゾロサンパラレルお試し版。
ゾロ視点。







――――――――――――――――――――




それは幼い頃の記憶。





おれが全てを失った日。



おれの世界の全てが失われた。
おれが暮らしていた村。
おれが知っている人達。
おれの家族。
おれの初恋。




その全てが一瞬にして奪われた。
目に映りはためく布に描かれているものは髑髏。
それはおれがこの世で何よりも嫌悪するものとなった。





そのとき―――





抱きしめられた。






後ろから突然の温もり。
おれはそこから恐怖は感じず、すがりついた。



それから二人で村の墓を作った。

その短い日々は、おれにはとても大事。
おれをあの地獄のような場所から救い上げた人。


金色に輝く髪が天使のようで、何度確かめるようにその背に手を伸ばしたか。

笑いながら「無ぇよ。」と言った顔。


それはおれの知る何よりも綺麗なもの。





「  ゾロ  」



「    」





おれの名前を何度も何度も呼んでいた。
おれは寂しくないと言ってるのに、
「名前を呼ばれると寂しくないだろ」と何度も呼んだ。




その声は覚えてる。



だけどおれはそれ以外覚えていない。


何故かは分からない。
夢か現実か、それすら曖昧な程。


どんどん遠ざかる。





「   」





名前は何だ?


おれは何て呼んでた?





あの時温もりをくれた。
あの時笑顔をくれた。

温かくて、綺麗だと覚えているのに。


どうして靄がかかったように出てこない?





日に日に薄れるその記憶。


それと比例に温もりも失うこの体。




おれに残るのは、
あの日、この目に映ったはためく髑髏。






それが今のおれ。
海賊狩り:ロロノア・ゾロ





作品名:衝動SSまとめ⑥(ZS) 作家名:おこた