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衝動SSまとめ(アポロン)

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千薫





2012/6/13更新

続きです。
続きます。








――――――――――――――――――――





千が地下室へ来なくなってどれぐらいが経ったんだろうか・・・





ある日突然、千はここへ来なくなった。
誘っても君は下手糞な言い訳を並べて逃げていく。

以前なら、俺は堂々と追い回したのかもしれない。
だけど、今は何故かそれが躊躇われた。

足が地面から頑なに離れようとしない理由はわかってる。



怖いんだ。



千の存在があまりに・・
あまりに大事になり過ぎて。

千が来なくなり、
理由を必死に考えて・・


先のことを考えて・・・




失う事を想像してしまった。





それからは、
千を誘いはするものの、
何故来ないのか理由が聞けなくなった。

深く聞けば・・
それに返ってくる言葉は別れの言葉なんじゃないかと、
不安で不安で仕方が無いから。



「薫さん?」


「・・ぁ・・何?律ちゃん、」

「顔色悪かとよ?」

「そっそうかな、平気だよ?」

「そう?千太郎も熱出してるけん、無理せんとってね。」

「え・・あいつ・・熱出してるの!?」

「そうよ、薫さん知らなかった?」


「うん・・全然。」

千太郎が熱出すのなんて、
何年ぶりかしらと律ちゃんはくすくす笑っていた。
大したことはないからと、笑いに行ってあげてと笑いながら言われ、
曖昧に頷いてしまった。


放課後に行く場所はどうせ決まってる。
そしてその場所はあいつの家の隣・・むしろ繋がっている家。

以前、倒れた時に世話になっている手前・・
知ってしまった以上、知らないふりは出来ない・・
律ちゃんに言われたから笑いに・・

自然と考えるのは言い訳じみた理由。
いっそ、どこまでも鈍感な人間になりたかった。



「あっボンにいちゃん!!!!!」



「・・幸子ちゃん、」

「お見舞いに来たとでしょう?」

「あっ・・いや・・・」

「入って入って!!」

「・・・うん・・、」

「2階におるとよ、珍しく弱ってるけん。おもしろかよ。」


どうぞと階段を上がるのを楽しそうに見ている。
行くしかなくなってしまった。

それにしても、あいつの風邪を心配する人は居ないのだろうか。


ある意味うらやましい・・



不思議と気持ちが落ち着いてきた。



今なら・・
聞けるかもしれない。




「・・・千。」




「・・・・・・・ボ・・ボンっ!!??」

「風邪だってな、随分貴重だそうだな。」

「・・せからしか。」

「話があるんだ。」

「・・なっ・・・なんじゃ?」

「・・なんで地下室に来なくなった?」

「・・・・・べっ・・べつに何でもなかけん。」

「明らかに俺を避けてるだろうが。」

「・・そんなこと・・なか・・・・」

「じゃあ来い。」



「・・・・・そいは・・できんのじゃ。」



「・・・・何でだよ。」

「・・・・・俺にもよう分からんけん・・今は・・無理ばい。」

「俺が原因か?」

「・・・・・・・・。」



「・・・・・・そうか。」






どうして、

どうして、


こういう所ばかり分かりやすいんだか。




明らかに原因は俺にあるという顔する。
不本意そうな顔だけがまだ救いなのかもしれないな。

でも・・やっぱり・・

こういう結論に達するんだな。



「分かった。じゃ、お大事にな。」

「・・・・・ボン・・・」

「楽しかったよ、」

「・・っ・・・・まっ待てボン!!!!!」

「病人は大人しく寝てろよ。」

「・・・ボン・・・違う。原因ばあるのは俺たい。」

「・・・・・。」

「俺がいかんけん、ボンは悪くなか。」

「・・・・・・それで?・・君が来ないなら同じだ。」

「・・・・・っ・・」



「・・離せよ。」


「待てっ・・・」



「離せっっ!!!!!!!!」

「話ば聞けっ!!!!!!」

「・・・・・何を?」

「・・・・・ボン、」

「何を?聞けって言うんだ。」

「・・・・・ボン、とりあえず落ち着けっ!!」



「分かった。俺が先に言ってやる。
君が言うのを待つには長くなるだろうからな。」



「ボン・・?」



「俺が先に言ってやるっ!!!!!」





いつだったかの体勢とまるで逆だな。
俺が千の上で、千が俺の下。

驚いて目を見開くのは千で、怒った顔で見下ろす俺。




そして俺は怒鳴る。


あの時の君のように・・・








まるで違う言葉を。