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衝動SSまとめ(アポロン)

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千薫





2012/6/5更新

千に想いを寄せ始める薫だが、
その想いは薫にとって苦しくてたまらないものだった。










――――――――――――――――――――




馬鹿みたいだ。





馬鹿みたいだ・・・






呼ばれれば心臓が早くなって、
頬に熱が集まって、
振り向く前に、自分の顔に触れる。

俺はちゃんといつもの顔をしているだろうかって。



その声は少し前までは可愛い声だった。


『薫さん』



それなのに、


今は――――







「ボンッッッッ!!!!!!!!!」



息が出来ない。
涙が出てくる。


苦しい。


苦しい。




苦しいっっ!!!



はぁっはぁっはぁっ―――――





俺を解放する場所への扉は、
透明で見えないのに確かにここにある。


ダンッッ!!!!


「開けっ・・よっ・・」


息が出来ないんだ。
苦しくてたまらないんだ。


開いてくれ・・・




頼む――――




ガチャリ・・

ガラガラガラガラ――



「ボン、よかぞ。」

「・・・・・っ・・!!!???」


透明な壁がまだそこにあるんじゃないかと手を伸ばす。
するとすり抜ける境界線。

走り出す足を止められない。



はぁっ・・はぁっ・・・・





「・・・・・・ボン、どがんした?」

「・・・・・。」

「ボン・・。」

「出てけよ・・・っ・・」

「・・・・ボン?」

「・・・・俺は・・君と居ると息苦しくなる。」

「・・・。」


「辛いんだ。」


「そうか。」



「・・・・・せっ・・」

「・・ボン、こいはお前にやる。」


チャリン―――――



後ろから投げられた鍵が俺を通り越す。
いつもお前が持ってた鍵。
俺が行きたいと言えば、いつも渡すでもなく一緒に来てくれた。


ガラガラガラガラ――



「・・・・・・っ・・」


振り返った場所にもう君は居ない。


ここは屋上なのに・・


どうして・・



息が・・っ・・




できないっ・・・・






「・・・・っ・・っ・・・・千・・・・」


end