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Secret Operations

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ACT6『異形の生物』


俺は出木杉とはる夫に一旦別れを告げた後、安藤さんと北舎の制圧を始める事にした。俺は安藤さんと組めた事に心底ほっとしていた。山本さんとはさっき組んでいたけど、口調も荒っぽいし、せっかちだからあまり好きになれない。ロシア人のナーシャと云う人は、一応日本語は充分に話せるので、会話するには全く問題は無いが、何かあの人には得体の知れない何かを感じる。それが何かは全く解らないけど……。
「安雄君、まずは何処から行こうか?」
 安藤さんは俺にそう訊いてきた。
「取り敢えず、近くの教室から虱潰しに進めた方がいいと思うよ。」
「そうだな。充分に気をつけよう。」
 安藤さんはそう言い、すぐ傍にある教室に向かおうとしていたが、気になっていた事を安藤さんに訊く事にした。
「安藤さん。なんで調査する場所を俺に訊くんですか? 別に、安藤さんが決めてもいいじゃないですか。山本さんは一人で決めてましたけど」
 俺がそう言うと、右手を額に当て、少し溜息を吐くと、ゆっくりと話し出した。
「……ああ、これは山本の方が正しい。俺と山本は市民を護る立場の人間だから、調査するルートも俺達が決めるのが普通だろう。だけど、一般人で小学生の君も戦いに参加してるから俺一人で決めるのも悪いと思ってな」
「戦いに参加しているって行っても、俺は何の訓練もしていない素人ですよ。ベテランの人が先導してくれた方が安心できます」
「――そうか、解った。これからは俺が先導するよ。……性分の問題かな。俺は、自分が先導して他人を引っ張っていくっていうのは性に合わないんだ。俺は元来の臆病者でさ、俺が下した判断が間違っていたらと思ったら、不安で他人に意見を求めるんだ。まぁ、リーダーになった事も管理職になった事もないから、実際に判断ミスで何かあった事は無いんだけどな。あるいは、予想すらしていなかった事態だから、単に怖いだけかもしれないな」
 安藤さんは話の途中で笑みを浮かべながらそう言った。そして、すぐ傍の教室の戸の前まで来ると、安藤さんが話し掛けた。
「よし、まずはここから虱潰しに調査していこう。安雄君は一旦ここで待機していてくれ。俺が先に内部の状況を確認する」
 安藤さんはそう言うと、引き戸の取っ手に左手を掛けた。右手には『H&K MP5A5』が握られており、銃口は教室の内部に向けられていた。安藤さんは一拍置いた後、勢いよく扉を開けた。安藤さんは目つきを変え、教室内のある一点に照準を合わせた。よく見てみると、教室の中には一体のゾンビがいて、こちらに向かっていた。安藤さんはそのゾンビの頭部に照準を合わせている。やがて、安藤さんはゆっくりと引き金を絞り、乾いた銃声が響いた。弾丸は頭部には当たったものの、そのゾンビは動きを止めなかった。安藤さんは続けざまに1発、2発と撃った。2発目にやっとゾンビは動きを止めた。俺の場合は、5発か6発は撃たないと倒せないゾンビを、計3発の9mm弾だけで倒せるのはすごいと思った。ゾンビがその場に倒れた後、暫く安藤さんは教室の中を見回していたが、他に動くものは何もいない事を確認すると、俺の方に振り向いた。
「幸い、この教室にはゾンビは一体だけだったようだな」
 安藤さんがそう言ったのは、これまでの教室にはゾンビは複数体いる事が多かったからだ。教室という狭い空間で2体以上のゾンビを相手にする事は結構難しい。安藤さんみたいなプロなら大丈夫だけど、俺やはる夫みたいな素人だと、慌てて狙いを外したり、リロードに手間取ったりしてゾンビを倒すのがかなり大変になる。だからゾンビが1体だけだと、非常に倒し易くなる。
「1体だけで助かりましたね」
「ああ、そうだな。だけど、まだどこかに隠れているかもしれないから気を付けるんだ」
 安藤さんのその言葉の後、俺は教室の中に入り、周囲を警戒した。まだ昼前なので、教室も十分に明るいが、ゾンビは倒れたふりをして襲い掛かって来る事もあるから安心はできない。この教室内には、先程安藤さんが倒したゾンビが1体。その他にも、血を流して倒れている人達が5人位いた。その人達が怪我をした場所はまちまちだが、流れ出ている血液の量からすると、もう生きてはいないだろう。
「安雄君。そんなに死んだ人たちを見るな。気持ち悪くなってくるぞ」
 俺が具合悪そうにしていたのがばれたのか、安藤さんが俺にそう話し掛けてきた。実際死体を見る事もゾンビを見る事も初めてだった俺は、最初の頃は、すぐに逃げ出したかった。しかしそれが出来ないと解ると、あとは生存者と協力しながら頑張るしかない訳で、がむしゃらに今まで戦ってきたわけだ。それに本来僕はお化けとかが嫌いだ。ゾンビの類も勿論苦手であり、逃げたいと思った事は何度もある。でも、逃げられるような状況ではない事はすぐに解った。出木杉に助けられるまで全く生きた心地がしなかった。それでも、今までなんとか生き延びてきた。これからどんな困難があるか解らないが、とにかく頑張るしかない。
 俺はそう思うと、安藤さんに言った。
「安藤さん、俺は大丈夫ですよ。奴等の相手も慣れましたし、充分頑張れます」
 俺がそう言うと、安藤さんは少し驚いたような表情をした。少しの間を空けて安藤さんは俺に言った。
「そうか。だが、無理はしないようにな。俺達全員が協力すれば絶対にここから脱出できる。希望は捨てるなよ。絶対に突破口はある」
 安藤さんは俺の肩を叩きながらそう言った。そして、俺と安藤さんは他の教室の制圧を続行した。

 他の教室でもゾンビは数体いたが、特に危なげなく制圧を完了する事が出来た。一般教室の制圧が完了すると、最後には印刷室が残った。
「最後は印刷室だな。ここで俺達の担当区域は終わりだな」
 安藤さんはそう言うと、扉の横にスタンバイした。印刷室の扉は一般教室と同じ横にスライドするタイプの扉だ。俺が扉の取っ手に手を掛け、一気に扉を引き開けると、最初に安藤さんが印刷室に突入し、次いで俺が印刷室の中に入った。印刷室の中にはゾンビはいなかったが、まだ油断はできない。
「この印刷室はL字型になってるから、部屋の奥は入り口付近からは見えないな。安雄君、充分注意するんだ」
作品名:Secret Operations 作家名:MONDOERA