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Secret Operations

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ACT5『バイオゲラス』


 一階には安雄君がいた。僕達が声を掛けると、安雄君は気づいて僕達の方を振り向いた。
「お、出木杉達も来たのか。心強いぜ」
「そう思うなら、最初から連れてって欲しいね。1人で無茶しようとするのは駄目だよ」
「解ったよ、今度から気を付ける。それより、早く体育館の方に行こうぜ」
「ああ。でも、一体何が起こってるか解らないからくれぐれも慎重にね」
 僕がそう言うと、僕達は体育館に向かって進んで行った。さっき体育館の方から聞こえた悲鳴……、体育館にゾンビか或いはB.C.W.が入り込んだか、どちらにしても戦闘は避けられないだろう。もし、体育館にいる奴がバイオゲラスだったら一番悪い。最悪の場合、バイオゲラスに全員虐殺されている可能性もある。
 僕がそう考えていると、体育館の扉の前に着いた。体育館の扉は開かれており、体育館の中では安藤さん達が戦っていた。安藤さん達が戦っている相手は紛れもない『バイオゲラス』だった。体育館の床には、人々の惨殺死体が広がっていた。――最悪の事態だ。こんな事は想定していなかった。
「……あいつが校庭にいたっていう怪物、か?」
 安雄君は小さな声でそう言った。心なしか少し声色が震えているようにも見える。
「ああ、多分あいつだ。十分に気を付けないと」
 僕はそう言いながら、FN ファイブセブンを構えてバイオゲラスに向かっていった。ハンドガン如きで敵うとは思えないが、何もしない訳にもいかない。
「もうやだよ」
 唐突にその声が聞こえた。僕は思わず「え?」と言いながら後ろを振り向いた。すると、はる夫君が言った。
「僕達はただの小学生なんだよ。ゾンビみたいな奴らと戦うのさえ嫌なのに、こんな怪物と戦うなんてまっぴらだ」
 はる夫君はそう言うと、後ろを向いてしまった。安雄君を見てみると、安雄君は頭を垂れていた。
「安雄君もそう思う?」
 僕は安雄君にそう尋ねてみた。すると、予想通りの返答が返ってきた。
「――俺も同じだよ。もともと僕はお化け嫌いなのを精一杯頑張ってゾンビみたいな奴らと戦ってきたんだ。あんな怪物勝てっこない……」
 安雄君はそう言うと、黙ってしまった。
「解った。あいつは僕がなんとかする。安雄君とはる夫君は巻き添えを食らわないように適当な場所に逃げてくれ」
 僕はそう言うと、FN ファイブセブンを構えてバイオゲラスに向かっていった。体育館の奥の方では、安藤さんと山本さんがバイオゲラスと戦闘をしていた。安藤さんはH&K MP5A5を装備し、山本さんは89式5.56mm小銃を装備していた。弾丸はバイオゲラスに当たってはいるものの、高硬度な皮膚の所為で、大した効果はない。僕が持っているFN ファイブセブンに装填されている弾薬は通常の拳銃弾とは違い、ライフル弾の様なボトルネックカートリッジであり、弾頭も円錐形状をしている。しかし、それでもバイオゲラスの皮膚は貫通できない。もし、バイオゲラスの体内に弾丸を撃ち込む事が出来るのならば、タンプリングアクションにより、高いストッピングパワーを得られるが、それには撃ち込む場所が重要になってくる。関節部を狙うか、口腔内を狙うか……。
 そう考えていると、バイオゲラスが安藤さんの方に突進していった。――取り敢えずバイオゲラスの注意をこちらに向けよう。対策はそれから行えばいい。
 僕はFN ファイブセブンの銃口をバイオゲラスに向けると、バイオゲラスに発砲した。弾丸は当たってはいるものの、なかなか皮膚を貫通しない。数発撃つと、バイオゲラスがこっちに振り向き、飛び掛かってきた。僕はそれを右方向に飛び込み前転をして回避した。回避した後に、再びバイオゲラスに向けて発砲した。しかし、弾丸が効いているような様子はない。――やはり、こんな銃弾だけじゃ殆ど効果がない。
「安藤さん! 何かほかに武器は?」
「小火器ぐらいしかない! 体育館の裏口に自衛隊の車輛がある。そこには、武器がある筈だから、使えそうな物があれば取って来てくれ!」
 安藤さんはそう言いながらも、バイオゲラスの突進を回避していた。自衛隊の車輛でもアサルトライフルかハンドガンくらいしかないと思うけど、もしかしたら何かあるかもしれない。
 僕はそう思い、自衛隊の車輛が停めてある体育館の裏口に向かって走った。
「何でそんなに躍起になってるのかしら」
 唐突にその声が聞こえ、僕は足を止めた。誰の声なのかは、はっきり理解している。
「ナーシャ。今の言葉は何のつもりなんだ?」
 僕がそう尋ねると、ナーシャはこっちを向かずに答えた。
「今、バイオゲラスがこの場所で暴れている。まぁもちろん金田の官制下だろうけど。金田が何を考えているのかは解らない。この機に乗じて私達を始末しようとしているかもしれない。しかし、だからといってあの自衛隊員を助ける道理はない。そうは思わないかしら?」
「確かに、彼らを助ける義務はないかもしれない。しかし、だからといって無下に無視する訳にもいかないじゃないか」
「やはり、あなたも子供なのね」
「どういう意味さ?」
 すると、ナーシャはこっちの方を向いてゆっくりと言った。
「情に流されるって事よ。利害関係でこの状況を判断したら、彼等を助けようとは思わない筈よ」
 実にナーシャらしい言葉だ。しかし、ナーシャにいいように丸め込められる訳にもいかない。
「……確かにその点は否定しない。しかし、完全に利点がない訳でもないんじゃないか? 彼等は少なからず僕等の力になる」
「甘いわね。彼等は本当に私達の力になってくれるかしら? それどころか私達の真実を知ったらこちらに銃を向けるかもしれないわ」
「そうかもしれないけど、僕達のこの装備で何とかできる相手か?」
「その気になればいくらでも方法はあると思うけど?」
「じゃあ今あのバイオゲラスがこっちに向かってきたら問題なく処理できると?」
「どうかしら? 絶対に無傷で処理できるとは言えないかもしれないわね」
「絶対的な策がないなら、彼等に協力した方が良いと思うけど」
 僕とナーシャはそう言い争った。するとナーシャは、溜息を一回ついた後に、徐に喋り始めた。
「じゃあ、のび太君の問題に関しては?」
 僕は、予想外の言葉に少し驚いた。というか、何の事を言っているのか解らなかった。
「……どういう意味さ?」
 僕がそう尋ねると、ナーシャはすぐに答えた。
「あなたは確かのび太君と同じ学校に通ってて、付き合いもそれなりにあるみたいね。まぁ、その事自体はどうでもいい事なんだけど、もしかして彼に個人的な感情を抱いていたりするのかしら?」
 確かに僕は、のび太君に対して個人的な感情を持っている事を否定できない。この作戦に参加したのも、のび太君が心配だったという理由がある。もちろん理由はそれだけではないけれど。しかし、だからといって任務を蔑ろにしているつもりはない。
「確かに僕はのび太君に個人的な感情を抱いているかもしれないけど、それが今回の作戦と何か関係があるのかい?」
「大ありね。今回の作戦はのび太君達に生体兵器をぶつけて、戦闘能力を計るのが目的よ。のび太君が死にそうになったらあなたはのび太君を助けるかもしれないわね。それどころか、作戦の内容を彼に言うかもしれないわ」
作品名:Secret Operations 作家名:MONDOERA