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Episode9,仲間の価値



 それから数日後の七月半ば、
 今日は先日行われた期末テストが返ってくる日だった。
 私は机の上で返って来た自分のテストを見ていた。
「物理96、英語95点、数学100点、国語92点、美術98点」
「おお、すげぇな!」
 すると兄貴が後ろから亀のように首を長くして覗いてきた。
「なっ? 見ないでよ!」
 私はテストを隠した。
「お前相変わらず頭いいな」
「相変わらずって、アンタまさか……」
 兄貴は私にテストを見せた。
 何と全教科赤点ギリギリだった。

 昼休み、私達は保健室で食事を摂っていた。
「いやぁ、今回も全力の戦いだったぜ」
「改造人間なのに頭悪いってどういう事よ?」
「脳までは改造してなかったからな、学力は本人の頑張り次第だ」
 三葉さんが言って来た。
 すると不破さんが会話に入ってくる、
「そう言えばタクミとバイスって筆記はビリ争いだったよね」
「……うるさい」
 大神さんが口をへの字に曲げた。
 大神さんは週末返上で追試が決定していた。
「タクミ〜、アタシのテスト見るぅ〜?」
 すると不破さんは目を細めながらわざとらしく微笑した。
 それを見た兄貴は口をへの字に曲げた。
「うっせ、見なくても分かるよ!」
 不破さんはロクに勉強してないのに学年トップクラスの成績を持っていた。
「話し聞いてりゃ覚えるよ」
「つーか出来ない方がおかしいって」
 三葉さんも賛成する、
 ちなみに三葉さんは全教科100点満点、学年トップどころか学校始まって以来の天才となってしまった。
「あ、そうだ。勉強できるって言ったら……」
 不破さんは語った。
 不破さんのクラスに明石京子と言う女子高生がいて、彼女は不破さんと違い成績不良社で毎回追試や補習を受けていたのだが突然不破さんと同じくらいの成績になってしまったと言う、
「良い家庭教師か塾にでも通ってんじゃないのか?」
「どうだろう、その子何も言わなくなっちゃったから」
「どういうことだ?」
 兄貴は訪ねる、
 明石さんは不破さんと仲が良く、アニメやマンガやゲームの話で盛り上がる事があったのだけれどもここ数日会話すらしていないと言う、
 こちらから話をしても何も答えず、まるで魂が抜けたようになってしまったらしい、
「アタシ、何か悪い事したかな?」
 不破さんは肩を落とした。
「さぁな、でも勉強できるようになったんだから良いんじゃないのか?」
「うん…… でも何かヤダ」
「えっ?」
「京子ちゃん、地球に来て初めての友達だから、何だか忘れられちゃったみたいで……」
「なるほどな、その気持ち分かるぜ、オレも舞に忘れられたらショックで寝込んじまうわ」
 兄貴なら別に寝込んでも構わないけど、不破さんは気の毒だった。
「気長に訪ねてみたらどうだ? 別に異星人の仕業って訳でもないんだろ?」
「うん……」
 不破さんはうなづいた。
 昼休みは終了し、皆自分達の教室に戻った。