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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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シープ&ゴートにて


 羊元の店までの道のりは、予想はしていたもののやはり過酷だった。整備されていない道、というのもあるし、根が張り出しているというのもあるし、気を抜くと二人において行かれそうになるというのもあった。なのに二人は慣れているからひょいひょい行っちゃうし。鷲尾もかなり気を遣ってくれてたんだと思い知る。宝亀もちょっとは気遣ってくれよ・・・
 三日間、夜は休んだけど、歩き続けたのは初めてだった。足もくたくただし、慣れてないところを歩くと変なところに力が入るから、その分足への負担が強い。
 四日目、俺はとうとう音をあげた。
「もう無理っ!ってか、あとどんくらいで着くの?」
「さあ?」
「獅子丸も距離までは解らないからな」
 あてにならねぇ・・・。ホント足が限界。最近ずっと歩きっぱなしだもんなぁ。俺の日常の運動と言えば、駅までの自転車と、週二回の体育の授業くらいだ。なのにいきなりこの距離を・・・。無理あるよな?俺わがままじゃないよな?
 鷲尾が足を止めて、その場に座り込んだ。それを見て、宝亀が目を丸くする。
「獅子丸、なにしている?」
「え?休憩。アリスが疲れてるっつってんだから、休もうぜ?」
 鷲尾があくびをしながら、平然と答えた。行動を共にする時間が最も長かったからか、理解が早くて助かる。しかし、今は黄色が空を覆い尽くしており、つまりは真昼間だった。休戦協定の時間まではまだしばらくある。宝亀が腕を組んで毅然として言った。
「反対だな」
 説明を求めると、それは尤もな話だった。宝亀は敵が攻めてくることを懸念しているのだ。俺は武器を持っていないし、話を聞く限り、宝亀も鷲尾も攻撃系の能力ではないようだし、当然だろう。ま、攻撃系の能力があるのかどうかはわからないけど。武器を持っていても持っていなくても、俺は戦えないしね。