衝動SSまとめ(コナン)
快新
2012/1/24
学パロ快新。
快斗が暗い感じの子で、
新一は人気の子、快斗の憧れ。
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いつも見てた。
憧れて・・・いる。
いつもクラスの中心で、
周りにはいつも人が居た。
休むことが多いのに、
それでも来たらいつだって中心になる。
比べて俺が休んだら、
皆は俺を忘れるんじゃないか・・・?
「なぁ工藤ーーー!!」
「ねぇねぇ新一。」
「工藤くん、ちょっといい?」
名前を聞かない日はない。
俺が口にすることはあまりないけれど、
誰かが必ず口にする。
窓から校庭を見下ろすと、
工藤新一が歩いてきていた。
「おい工藤来たぞ!!」
「また遅刻かよ~」
今日は何度その名を聞くことになるんだろう――
「・・・・おい?」
「・・・・」
「おーーい、黒羽?」
「・・・・!!!?」
いつの間に眠っていたのか分からなかった。
でも、目の前に工藤新一が居た。
そして俺の名前を呼んだ。
「くどう・・しんいち?」
俺もその名を口にした。
「おはよ。」
「・・・・おはよう。」
「お前いつも放課後、何もしないのに残るよな。」
「・・え?」
「何してるんだ?」
工藤新一はこんな目立たない俺を知っていてくれた。
俺を見ていてくれた。
「・・・・何も、」
「だったら、今度勉強教えてくれよ。」
「・・・・俺が、工藤に?」
「あぁ、お前頭良いからな。」
「・・・・・・。」
「ん?・・・どうした?」
俺は嬉しくて、泣いてた。
見られるのは恥ずかしくて俯いていたら、眼鏡のレンズにポタポタと涙が落ちた。
眼鏡を外して、シャツの袖で眼鏡と目元を拭う。
「なぁ、お前。」
「・・・・・。」
「お前、俺に似てねぇ?」
「・・・馬鹿にしてるの?」
「・・ぇ?」
「俺が工藤新一に似てるわけないじゃんか!!!!」
「・・・・・お前自分をよく見ろよ。」
「・・・・まだ言うのか!!?」
「俺にそっくり。」
工藤が俺にグイッと顔を近づけて、二人で窓を見た。
外はもう暗くなっていて、鮮明ではないけれど二人の姿が映った。
そこには俺が憧れる工藤新一と、その隣には眼鏡を外した俺。
一人は楽しそうに笑って、
もう一人は情けない泣き顔だったけれど。
どこか似ていた・・・。
「な?」
「・・・。」
「お前、眼鏡取れよ。」
「・・でも、」
「お前目悪くねぇんだろ。」
「・・・・っ!!!?」
「探偵ナメんな。」
「・・・・・凄いね。」
「俺、ずっとお前見てたから。」
「・・・・ぇ?」
「俺お前のファンなの。」
「・・ファン?」
「そ、俺お前がマジシャンやってるの知ってるんだ。」
「・・・・!!?」
「マジックやってる時のお前、すげーカッコイイぞ。
いつも気になってて、話したかったけど・・・お前雰囲気変わりすぎ。」
「工藤、」
「ん?」
「ありがとう。」
「・・・何が?」
「ハハッ・・・・工藤、やっぱりごめん。」
「・・・はぁ?・・何言ってんだがわかんねぇよ。」
「探偵だろ?」
「お前なぁ・・。」
工藤新一、俺の憧れの人。
俺を見つけてくれた人。
ありがとう。
でも、ごめん。
俺、工藤が
好きになった―――
「今度マジック見せろよ。」
「喜んで。」
end
作品名:衝動SSまとめ(コナン) 作家名:おこた