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仮面

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Hollow


 狂うほどの衝撃を求めているくせに、平穏だけは保ちたいなんて矛盾だらけなことを考えてる。俺は俺自身が乱れるようには生きたくない。周りだけが乱れて嵐に呑まれてしまえばいいなんて、本気でそう思っている。
 だから、俺が他人のことなんかで心乱されるなんて冗談じゃない。どんなに取り繕ったってこれが俺の本音で、本性。紛れもなく。他人ごときでこの俺が狼狽えるなんて、そんな愚をこの俺が赦すはずもない。

 血みどろになって地獄を這う。
 残酷の二文字がこの上なく美しく輝いている。さながら天の頂にいる神のように。眩しく煌めく光のように。
 俺は濁った目で狂ったように見続けている。その美しすぎる有様を。凄惨であればあるほど俺の心は踊り、絶望という名の希望を見出す。
 けれどそんなことは現実には起こりえない。狂った俺の頭の中の妄想の出来事。

 死にたくなるような退屈でつまらない毎日でも、すべてが変わらないままならそれでいいと思っているのに、時間は止まっちゃくれないし、俺以外の人間は刻一刻と変わってく。変わらなきゃいけないなんて無理やりにでも言い聞かせて、素足のまんまで棘の道を踏みしめる。変わってくのが当たり前だなんて全員が揃いも揃って言うけれど、変わることで充足感を得るのか満足感を得るのか、俺にはさっぱり分からない。何一つ。俺は知らない。俺以外の全員が知ってたとしても。知る必要なんてない。
 起伏なく、頭の中だけでこの世界をぶっ壊して俺は死にながら生きていく。それでいい。どうせ俺なんて存在は宇宙を漂ってる塵以下だ。そんなこと、最初から分かっている。

(虚しくても、俺はどうせ世界に不要な異質物)

 認めたくない感情が渦巻く。掻き乱されて、俺の身体はズタズタに切り裂かれている。望んじゃいなかったのに、俺は連れ出されて傷が増えていく。所詮その先には裏切りしかないのに、俺は何度その虚しさに傷つけばいい?
 何度傷つけば俺は俺のままでいられる?


 どうせ誰も知らない。誰にも知らせない。
 狂ってしまった俺が自由になれる場所なんて、所詮はアタマの中の俺自身が作り上げた混沌の世界だけ。
 嗤いたいなら嗤えばいい。
 何でもない振りをして、全員俺の頭の中でぶっ殺してやる。
 そうして俺はまた一つ壊れていく。今日も、明日も、これから先も多分ずっと。

作品名:仮面 作家名:深月