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仮面

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FAKE



 俺以外のだれかが、なんの疑問もなくただ当たり前なこととして受け止めている現実を、俺は感じることができないんだと思い知らされて、ただ愕然とする。

 自分を偽らずに生きていられる人間が───そしてそれを拒絶されずに生きていられる人間が───こんなにも周りにいるというのに、俺はいくつもの嘘の仮面を貼付けて、愛されようと躍起になっている。そんなことをしたって、俺は結局だれからも求めてはもらえないのに。笑いたくもないのにいつでもへらへら笑って媚び諂って、話したくもないくせにむりやり話を合わせて、そうすることの無意味さにどうせ嫌気がさすくせに、そんなくだらないことのひとつすら俺はなにひとつやめられない。
 俺以外のやつらと同じような"幸せ"を得ることすらできなくて、もがいて苦しんで結局偽らなければならないのなら、俺は幸せなんてものをはなから諦めなきゃいけない。そいつらのたったひとかけらの幸せすらこのまま掴めないなら、俺は生きていくことの期待なんかしない。偽らずにだれかと関わっていくことも、希望に満ちあふれることもない。ただ死んだように生き存えるだけで。

 妬んでも、羨んでも、憎んでも。
 俺はそれを得ることはできない。がむしゃらに生きても、偽らずにさらけ出しても受け入れられない現実に、ただ俺が惨めに堕ちていくだけだ。
 愛されたくて、だれかに求めてほしくて泣き叫んでも。
 みんな、俺の存在を無視してだれかを笑い合っていく。

 偽りじゃない、嘘つきじゃない俺がどこにいるのかもう、俺自身にすら分からない。
作品名:仮面 作家名:深月