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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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ばんな寺にて



黄色い花が風に揺れている。
アスファルトの道は南北に延びていた。
宏はその道を南に向かって歩いていた。すでに毛穴の中の汗は流れ出していた。
ヒマワリの花を良く見ると、円の中に小さな花の有ることに気がついた。この年になって初めてそのことに気がついたことに、宏は小さな驚きを感じた。
ばんな寺の大きな木々が見えだした。堀には鯉が気だるそうにゆっくりと泳いでいた。
反り橋を渡ると仁王門が有る。それをくぐると広い境内になる。
西山由美との約束の時間は2時であった。まだ10分前である。
宏は暑さを避けてイチョウの木陰で待つことにした。
宏の他には3歳くらいの男の子とその母親だけで有る。
男の子は赤い袋から、鳩の餌を撒いていた。
鳩は男の子を中心に30羽くらいいた。
作品名: 作家名:吉葉ひろし