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銀魂集(一般)

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風邪の治し方(阿伏神)



「団長。アンタ、風邪、ひいただろ。」

神威がめずらしくベッドの上でぼんやりうつ伏せで寝そべっていると、阿伏兎がそこにやってきて神威の顎を持ち上げ言った。

「んーひいてないよ。鼻たれてないでしょ?」
「目が紅いんですよ。充血。アンタ、風邪ひくと、目、紅くなるだろ?まるで兎だな。」

阿伏兎は神威の顎を持ったまま、神威の目を見て言った。

「ありー?まあ、ちょうどいいじゃない。夜兎族なんだし。そういえば鬼兵隊のお兄さんもそう言ってたな。」
「・・・何を。」
「んー?俺の顔持って、目が紅いな、て。まさに兎だな、てさ。」
「・・・ち・・・。」
「ん?何?阿伏兎ってば、やきもち?」
「ちげーよ。とりあえず、栄養あるもん食って、寝てなさい。」
「んーそういえばお腹すいた。阿伏兎作って。」

顎から手を離し、立ち上がりかけたところで神威が阿伏兎の腕をつかんだ。

「はあ?なんでだよ。ちゃんと食堂があるでしょうが。」
「阿伏兎作って。」
「いや、俺、腕ないし、片方。」
「阿伏兎。」

神威は紅い目をじっと阿伏兎に向けてくる。
阿伏兎はため息をついた。

「はぁー。はいはい、分かりましたよ。作りゃーいーんでしょ、作りゃー。おい、手、離せ。しかもイテーから。」
「なんで?」
「は?飯、作るからでしょーが。」

阿伏兎がそう言うと、神威はにっこりと笑った。

いや、にっこり、じゃねえな。
阿伏兎は思う。
何そんな表情で笑ってんだ。

「おい、団長。俺を食う気か。いくら腹減ったっつっても俺は食えねえですよ?」
「やだなぁ、阿伏兎ったら。ある意味、あえてそう表現するなら、いつも食われるのは、俺だろ?」
「・・・。いや、なんつーか、そういう場合でも俺はアンタに食われているような気、しかしない。」

阿伏兎がさらに離れようとするも、神威は起きあがり阿伏兎の胸倉をつかむ。

「だって何度しようが足りないんだよ。いいじゃない、減るもんじゃあるまいし?」
「・・・いや、なんかが減るような気がする。色んなものが減るような気がする。て、おい。腹減ったんじゃねぇんですかぃ、団長。しかもアンタ、風邪、ひいてるだろうが。大人しく・・・」

阿伏兎が言いかけたところで、神威は薄っすらと笑って更に近づき、阿伏兎の口元でささやくように話す。

「減ったよ?でもこっちも減ってるから。阿伏兎で俺ん中、満たさないと、ペコペコだから。」

この色んな意味で欠食児童がっ・・・。

「それにね、ほら。風邪って、人にうつすと治るっていうじゃない?阿伏兎。お前、俺の風邪、もらってくれない?」
「おいおい。相変わらず酷ぇ。・・・ったく。いいよ。・・・もらってやるよ、団長。」

そう言うと、神威は嬉しそうに、だが妖しく目を細めた。
作品名:銀魂集(一般) 作家名:かなみ