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ルック・湊(ルク主)

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共鳴



「銅像・・・?」

かの人はとてもにっこりと笑って首をかしげた。

「うん、あのねっふがっ」
「いいって、湊。あー気にすんな、詩遠、なんもねぇよ。」

湊の後ろから、シーナが羽交い絞めにして口をふさいできた。そしてシーナはその少年に笑いかける。
詩遠と呼ばれた少年はやはりニコリとしたまま、口を開いた。

「・・・そう。・・・ふーん・・・。・・・ところで、シーナ。お前が抱きついている子は、何。そしてなんだかルックがいつも以上に不機嫌な感じでお前を見てるよ?」
「あ。」

シーナは慌てて湊を離した。

「こいつは今のリーダーだよ。な、湊。」
「うぁ、あ、はい、あの、湊っていいます。は、はじめましてっ。」

湊は慌てて頭をさげて挨拶をした。

「はじめまして。詩遠=マクドールっていいますよ。頭、あげてね。礼儀正しい子は好きだけど、別に頭さげられるような事はしてないしね。」
「あ、は、はい!」

湊が今度は慌てて頭をあげ、頬を赤らめてにっこり笑う。ルックは内心で軽く舌打ちをした。

「ルック。久しぶりだっていうのに相変わらず不機嫌で何より。そしてそこの2人。・・・生きてたんだね・・・?」

詩遠がそれはそれは優しい笑みを腐れ縁2人に向けた。それを湊は“いいなぁ、ほんとかっこいい”などともはや憧れに近い感じで見ているが、腐れ縁達はなぜかほんのり顔を青ざめさせ、慌てた様子を見せていた。

「いや、その、あれだ、てっきりこいつが任せてくれって言うから、トランにも連絡を入れたものだと・・・っ」
「あー、ほら、ちぃとごたごたしてただろ?で、つい、な。」
「ふふ。まあ俺はお前たちが生きていると信じてはいたよ?信じては、ね?まあ、いいよ、せっかくの再会だ。」
「「そ、そうか・・・」」
「お礼に近々手合わせでもしてあげるよ。」
「「っ!!」」

手合わせか、いいなぁ、とまた湊は思ったが、なぜかやはり2人は更に青ざめているような気がした。

「で、リーダーって・・・」

詩遠が湊に何か言いかけた時、先ほどの男性が慌てたように走ってこちらにやってきた。

「ぼ、坊ちゃーん!」
「ぶは、お前、まだ坊ちゃんて呼ばれてるの?坊ちゃんて歳でもないだろうよ。」

思わずシーナが噴き出した。詩遠が“良い根性してるね、シーナ”などと言っているのを見ながら、湊は首を傾げる。

「・・・どうしたのさ?」

ルックが湊に聞いた。

「え、ああ、うん、詩遠さんて、まだ10代だよ、ね?別に『坊ちゃん』でもいいような気がして。」
「・・・ああ。いや、詩遠は確かもう、20歳にはなっていたと思うけど。」
「え!?マジで!?だ、だけどそんな風には見えない・・・け、ど・・・?」

ああ、とルックは思った。
そういえば、湊は知らないのであろう、真の紋章の呪いである『不老』について。後で説明しておこう、と。

慌てて走ってきたグレミオ、と呼ばれた男性が言うには、どうやらコウくんがさらわれたらしい。それは大変だ、と慌てて皆で山道へ向かった。
結局さらったらしい山賊達は、詩遠と湊が誰か分かったとたん、蜘蛛の巣を散らすように逃げていってしまった。
だがその場にコウはいない。少し先を探してみると広くなっているところで倒れているのを発見した。

「コウくん!!」

慌てて近寄ろうとして、皆はモンスターの気配を感じ取った。前にトランへ行った時にも出てきた、ワームという、気持ち悪い芋虫のようなモンスターがまた湊らの前に現れる。
今回は皆も前より強くなっているのと、新たに詩遠がいるおかげであっという間に倒せた、と思った。が。湊が叫ぶ。

「ちょ、何、気持ち悪い!変な蛾みたいなんに変態したっ!」

新たに変態したモンスターは、今までとは圧倒的に違う強さの上、毒を含んだ鱗粉をまきちらかしてくる。さすがの皆も手こずっていると、不意に湊の手が光り出した。

「!?」

同じく詩遠の手も光っている。
それを見たルックが舌打ちをした。

「っちっ、共鳴かっ!くそっ、間に合わないっ。」

その様子に詩遠が怪訝な顔をしつつも、とてつもない勢いで何らかの膨大な力が紋章からあふれ出そうになり、少し苦しげに手をあげた。
一方の湊も同じく手をあげる。
すると、2人の宿している紋章から光があふれ出た。紋章が浮かび上がり、それらが混ざり合う。その瞬間、皆にはまるでこの世すべての光景が見えたかのような錯覚を覚えた。そして気がつけば、モンスターは消えており、皆は戦いで落ちていた体力や怪我などがすべてもとの正常な状態にもどっている事に気づいた。

「なんだ・・・」
「すげぇ・・・」
「・・・う・・・。・・・あっ、コウくん!コウくんは!?」

湊は一瞬苦しげな表情をしたような気がしたが、気のせいだったのか、慌てたように走って倒れたままのコウの元に行った。シーナ達もコウの元へ行く。
そんな中、ルックが少し怖い顔をしてそちらの方を見ているのを、詩遠はまたもや怪訝な顔で見ていた。
先ほどからピクリ、とも動かないコウはモンスターの毒にやられていたようであった。

「ここからだと・・・トランが近いですね・・・。仕方ありません、坊ちゃん、トランに向かいましょう。」

グレミオがコウの様子を見ながら詩遠に言った。詩遠も黙ってうなずき、一同はトランへ向かった。
国境では、前にいた警備隊長が、詩遠を見て、びっくりすると同時にものすごく嬉しそうにし、慇懃無礼に対応していた。
一同は、レパントがいる城に向かった。どうやら今、腕利きの医者がそこに来ているらしいと聞いた為である。
城内に入り、医者を呼びだしている間に、詩遠がチラリ、と湊が『英雄秘蔵部屋』と呼んでいる部屋を目にして微笑んでいた。
“あんな部屋を目の当たりにしても笑っていられるなんて、やっぱり器の大きい人だ”と湊は感心していた。自分なら見た瞬間文句を言ってめちゃめちゃにしているかもしれない。その他の者、特にシーナはなぜか顔をひきつらせていたが。
しばらくすると、リュウカン、と呼ばれたお年寄りがやって来た。彼がどうやらその医者らしく、彼も、詩遠に出会えた事を激しく喜びながら、だがしかし、すぐに運ばれていったコウとともに行ってしまった。

「よし、じゃあ今はとりあえずすぐにも、ここ、出るか・・・」
「詩遠様っ!!!!!」

詩遠が出よう、と言いかけた時、レパントの声がした。どうやら自らここまで出向いてきたらしい。

「・・・レパント・・・」

詩遠が笑顔のまま、絞り出すような声でレパントの名を口にした。

「すごいね、ルック。さすがだね、大統領を呼び捨てだなんて、さすがだね・・・。」
「・・・さっきからずっとすごいって思ってるみたいだけど・・・なんていうか・・・色々検討違いだから・・・。」

ルックもある意味絞り出すように言った。湊は“え、何が?”と不思議そうに首を傾げていた。
一同は、というか詩遠はそのまま強引に、前に来た時に通された会見の間に連れていかれ、そこでレパントに“大統領の席はあなた様のものです”としつこく説得され、閉口していた。

「レパント・・・いい加減にしないと俺も怒るよ?ていうか、既にとんでもない部屋を見つけてあまり良い気分ではないのでね。」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ