二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ルック・湊(ルク主)

INDEX|54ページ/174ページ|

次のページ前のページ
 

反応1



“あんまり近寄らないで”

あんまりにもあんまりだった為、その後どうやって部屋に戻ったか定かではない。

“・・・僕は何か気づかないうちに、湊に何かしたんだろうか・・・?”

朝目が覚めた瞬間思った事がそれだった。
ルックはなんとなく重い身体をのそり、と起こして身支度をする。
湊が伏せっていたここ数日は、この同盟軍にも平和がもどったかのように、のんびりとした様子だった。
だが、まだ王国軍は各街や村から引いていない。それはすなわち、戦いがまだ終わっていない、という事である。
ただあちらにしてもルカを失った訳である。今のところ動きはまったくなかった。
こちらでもとりあえずは様子見でいくことにしたようで、その為とてものんびりとした平和な雰囲気が漂っているのであろう。

・・・今のルック以外。
見た目はあまり分からないが、ルックの周りに雷雲でもただよいそうな雰囲気に、なんとなくいつも以上にルックの機嫌が悪そうだ、と皆は触らぬ神になんとやらで近寄らないようにしている様子である。

「あ、ルック。」

そんなルックに、サラッと湊が声をかけてきた。湊の声を聞いた瞬間ルックのテンションが跳ね上がる。一見分からないが。

「な、何。何か用?ていうかもう、起きて大丈夫な訳?」
「あ、うん、もういいんだー。あ、別に用はないんだけど、ルックなんか昨日様子おかしかったし。」

様子がおかしいのは湊だろう、とルックは内心で突っ込んだ。

「そんな事はないけど。」
「そう?だって急に上の空みたいになって、お話もそこそこに帰っちゃったしさ。」

君が近寄らないで、なんて言うからだ。
今度も内心で答える。でもまあ、いい。昨日はたまたま疲れていたか何かだったんだ、うん、そう思おう。現にこうやって来てくれているし・・・。
ルックはそう思い、湊の方へ向き直った。そして湊の顔を見たとたん、つい湊の頬にふれたくなり手をスッとあげた。

「!!」

すると湊がなぜかびっくりしたような反応を見せ、その後妙に赤くなって飛びさるようにルックから少し離れる。
ルックは手をあげたまま固まった。

「あ、ごめ、ちょ、ちょっとびっくりして。あ、そうだ!!2階の舞台でコボルトダンス、もうすぐしたら始まるんだー。ねえルック、一緒に見に行こうよー。」

湊がニッコリと言った。
先ほどの反応がルックの分厚めではあるがガラスのハートを砕きかけた、が、こうやって誘ってはくる。
ルックは少し心を打ち砕かれつつも、久しぶりに湊が楽しい事ならいいか、と興味ないながらも一緒に2階にある舞台場へと向かった。
ちょうど着いたころに前の舞台でコボルトダンスが始まった。人がたくさんいるため、湊は邪魔にならないよう、奥の隅に移動する。
ルックからしてみれば、ほんとどうでもいい内容であったが湊は何が楽しいのか転がるような笑い声をあげていた。
するとその横でもプッと控えめな笑い声が聞こえてきた。ルックが何気にそちらを見るとゴミ袋が・・・いや、もとい、クライブが立っている。

あのクライブが今、噴き出した・・・?
ルックは明日は間違いなく嵐に違いない、と思う。湊も少し驚いたようで、コボルトダンスが終わってからクライブに話しかけた。

「クライブってコボルトダンス、好きなのー?」
「・・・ああ。」
「へぇ、そうなんだ!僕もだよー。楽しいよね?」

湊がニッコリと、あの頬を染める可愛い笑顔で言った。
無駄にフェロモン巻き散らかすの、やめて欲しい、もったいない・・・ルックがそう思っていると、何を思ったのかクライブがふと手を伸ばしてきた。
そして湊の頬に触れようとする。
今の湊ならものすごい勢いで逃げるだろう、と踏んでいたルックは唖然とした。湊はされるまま、ただ不思議そうにクライブを見ていた。
クライブは湊の頬に手を添えた後、しばらくそのままでいてからその手を湊の頭にやり、数回撫でるとまたマントの中に仕舞い、また無言のまま立ち尽くしていた。

その間、ルックはポカン、とその様子を見ていた。
湊はといえば、不思議そうな顔をしたあと、頭を撫でられて、またニッコリとしている。
何このフワフワした雰囲気?ていうかほんとなんなの今の。
クライブ許すまじ、と思ったが、クライブに関してはなんとなく湊に妙な考えを持っているようには見えない。あえて言うならば、犬や猫を撫でる感覚に近いというか・・・。こいつ、何気に可愛いもん好きか!?
それよりも湊。
先ほどルックが手を伸ばした時にとった態度との違い。
え、ほんとに何これ。

「ルック?どうかした?なんとなく顔色が悪いような気がするんだけど?」

そんな湊はルックに心配そうに聞いてくる。
ほんっとに分からないっ!!ルックはかなり混乱しそうだった。

「あ。ごめん、ルック。僕、そろそろシュウさんのとこに行かなきゃ。誘っておいて、ごめんね?」
「・・・いや、いいから。行っておいで。」
「うん、またあとでねー。」

湊はニッコリと手をふって走っていった。
ルックはとりあえずお茶でも飲もうか、とレストランへ向かった。今は自分で淹れる気になれない。
そうしてお茶を飲みながらため息をついているとうるさいのが来た。

「どうしたんだよ、ため息なんかついてさー。」
「別に。ちょ、勝手に座らないでよドラ息子。」
「お前もたいがい酷いよな。いいじゃんかよー。あ、お姉さん、俺にも紅茶ね!」

やってきたウエイトレスにニコニコと愛想をふりながら、シーナは注文していた。

「相変わらずだね、君は・・・」
「え、そう?つか、なんかあったのルッくん?元気ねぇじゃん。」
「ルッくん、言うな・・・。いや・・・ああ・・・。・・・湊が、なんだかよくわからないんだけど、なんだかおかしい。」
「湊が?なんで?」
「昨日は近寄らないで、とか言われた。今日も一見いつもと変わらないのに、湊の頬にふれようとしたら飛び退かれてしまった・・・。」
「え。マジでか。・・・えーと、それって、他の男に対しても、なのか?」
「いや・・・。先ほどクライブに触れられた時は全然いつもの湊だった。」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ