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ルック・湊(ルク主)

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前夜



王国軍はハルモニアにも援軍を頼んだらしく、ルカ率いる本隊を加え総勢5万人。それに対してこちらは2万人だった。
明日は決戦になるだろう、という前夜、湊は眠れない為、本拠地を歩いてまわっていた。
シュウの部屋に行けば、あの皆に厳しいシュウが励ましてくれた。

「・・・それに、あなたはこの同盟軍のリーダー、全ての将兵の心のよりどころであり希望です。そんなあなたが勝利を信じられなければ、誰が勝利を信じられましょうか?」
「うん、そうだね、そうだよね!ありがとう、シュウさん。おやすみなさい、こんな夜更けにごめんなさい。」
「いいえ、何かあれば軍師を頼っていただいていいんですから。いつでも。おやすみなさい、湊殿。」

湊は明日への不安の相談に乗ってもらい、なんだか気持が軽くなった。
1階ホールに出ると、旅の一座がいた。

「あれ、湊じゃないか、どうしたんだ、寝たんじゃないのか?」

アイリが気づいて話しかけてきた。しばらくそこで立ち話をする。

「湊・・・あいつ・・・ジョウイと戦うのはツライか?」
「アイリ・・・。うん・・・正直、まあ、ね。でも・・・・・・。」
「あ、ご、ごめん!変な事聞いて!」
「ううん、大丈夫だよ。」
「湊、あなたも良い男になってきたねぇ。最初はどこか、たよりなげなところもあったけど、すっかりたくましくなっちゃって。」

アイリの姉、リィナが妖艶に微笑んでそう言ってきた。

「ほんと?僕、小さいからさ、冗談でもそんな事言ってもらえると嬉しいよ、それも綺麗なお姉さんから。」
「あ、あ、湊、そろそろ寝たほうがいいんじゃないか?疲れているだろう?」

なぜか焦ったようにアイリが言ってきた。

「そうね、なんだったら私といっしょに・・・」
「アネキ!!!!!」
「冗談よ、少なくとも横取りしたりしないわよ。」
「ア、アネキ!!!!!!!ほ、ほら湊、もう、行きなよっ。」
「へ?あ、ああ、うん。じゃあ、お休みー。」

なんだかよく分からないまま、湊は首をかしげつつそこから離れた。
だけれども、まだ眠くない・・・。
どうしようか、と、誰もいない石板前を通りつつ、結局は足が勝手に動き、ルックの部屋の前まで来ていた。
でも寝ているかもな、と逡巡していると、中から声が聞こえた。

「・・・入れば・・・?」

あ、バレてる、と思いながら、湊は持っている鍵でドアを開けて中に入った。

「何。どうしたのさ。眠れないの?」
「んー。さっきまでシュウさんとかアイリ達と話してたんだけどね、うん、まだ眠くならない。」

シュウやアイリ、と聞いた後、心なしか少しム、とした様子で、だがルックはベッドから降りて動き出した。

「座れば。」
「あ、うん、。」

そうして何やらハーブティーを入れてくれた。
明日は早いだろ、とかバカみたいに起きてないで、とか何か言われるかと思いきや、ルックは何も言わず、自分も黙って一緒にお茶を飲んでいる。
その後、どんな話をしてたのかと聞かれたので、シュウが相談に乗ってくれた事や、先ほどのよく分からないリィナ達の会話などを話すと、またムッとしたような表情を見せていた。

「ありがとう、ルック。なんだかお茶飲んだらホッとした。このままだと眠れそう。あの、ね?」
「何。」
「一緒にここで寝たらダメかなぁ?」

お茶のカップを持ち上げていたルックの動きがピタリ、と止まった。

「・・・?ルック?やっぱ、ダメ?」
「・・・。なんで。」
「えー。だってこのままだったら眠れそうだし。戻ってるうちにまた目、冴えそうだし。それにルックと一緒だと落ち着いて眠れそうだもん。」

“落ち着いて・・・?”となんだか理解しがたい、といった言い方をしていたルックは、ため息をついて髪をかき上げてから言ってきた。

「いいよ。分かった。でもここのベッド、狭いけど。」
「かまわないよ!ありがとう、ルック。」

多分呆れたんだろうけど、それでもいいと言ってもらえて湊は尻尾を振るように喜んだ。
確かにベッドは2人で眠るにはせまかったけれども、その分くっついていられるから嬉しかった。

「・・・湊。あんまりくっつかないで。」

あ、ちょっとくっつきすぎたのだろうか。湊は思った。ルックが絞り出すような声を出している。うっとおしいの、我慢してくれてるのかな?

「ご、ごめん。」

湊が少し見上げるようにルックを見て謝ると、ルックが妙な顔をした。

「?ルック?ごめん、やっぱり僕、戻った方がいいかな・・・?」
「・・・いや、いい。だから早くお休み。」

ルックはそう言って、湊の額にキスをしてくれた。
あ、すごい嬉しい。
湊は思わず、エヘヘ、と我ながら締まりのない笑みを浮かべた。

「ルック・・・大好き。」

なんだか明日、ほんとになんとかなりそうな気がする。そう思いつつも、気づけば意識がフェイドアウトしていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ