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ルック・湊(ルク主)

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鍛練




珍しく湊が訓練所に仲間を集めてきた。
いったいなんだ、と不思議がっている者や、湊の呼び出しならどんなことだって喜んで出向く、といった者などさまざまな者がざわざわと立ちつくす。
軍議かと思いきや、全員が呼ばれているわけでもなさそうだ。ビクトールが数を数えると、まだここにいない湊を抜いて16名。

「なんだろうな。おい、シーナ、お前聞いてるか?」
「知らねえ。えーと・・・。あ。ルック!ちょ、ルックって。」

隅に立っていたルックを発見し、シーナが声をかけたが、それに明らかに気づいた様子なのにルックはフィ、と違うところを見る。

「くそ、相変わらず良い根性してるじゃねえか。」

シーナはルックのほうへ歩いていく。何気にビクトールとフリックもついていった。

「なんで無視すんだよ。」
「・・・何。」
「ああ、お前さー、これ、何の集まりか聞いてる?湊から。」
「知らない。なんで僕に聞くのさ。」
「えー、だってお前ら付き合ってんだろ?」
「・・・。」
「え、マジでか!?まったくもって初耳だぜ!?」
「・・・ビクトール・・・お前、まったく何一つ気づいてなかったのか・・・?」

一人、びっくりしているビクトールに、フリックは呆れたように言った。この間の騒ぎでほとんどの者は湊とルックがなんらかの形で良い仲だと知っていると思っていたが・・・。

「んなもん、知るかよ。まあ、いい。で、ルックも知らねぇのか、この集まり・・・。」

そうこう話しているうちに湊が入ってきた。

「はいはーい、お待たせー。皆集まってねー。」

にこにことしている湊に、皆は従う。ルックは相変わらず壁に寄り掛かっているが。

「さて。ここにいる皆さんは僕が選ばせてもらった人たちです。あなたがたに、今度、戦闘に参加していただきたいと思ってるんです。」

戦闘?それは何もあえてここに集めなくとも、普段からパーティを組んで行っていると思われるのだが。
皆がそう思った。

「チーム分けをするからね。パーティリーダーは、僕、ビクトール、フリックで。他の皆さんは今から貼りだす紙を見て、どのパーティに分かれるか見て下さいねー。」
「おい、湊。一体、何なんだ?」

ビクトールが聞いた。
「・・・きっとね、ルカとの戦いで皆さんの力が必要になると思うんだ。でね、まあ3組くらいのパーティあればいいかな、と。」
「?3組だと、一人足りなくないか?」
「ああ、後の一人はナナミだから、僕と一緒に。ナナミはだからいいんだ。・・・レベル的にも・・・。」

最後は何やらボソリ、とつぶやいていた。
あれ?なんだか一瞬、可愛いはずの湊が黒くね?
そう思った者も数名いたと思われる。

「とりあえず。ほんとに重要な戦いになると思います。だけど楽な戦いじゃない。命の危険だってある。だから、今、聞いておきます。そんな戦いでも・・・命をかけるような戦いだとしても、それでも自分の命を守り、戦える人だけ、残って下さい。自信がなかったり、やりたくない、と思えば、遠慮せずに抜けていただいて問題ありません。」

湊が真剣な様子で言った。そして間をあける。

「・・・どなたも、参加していただける、と判断して、大丈夫ですか?」
「当たり前だろ!?まったく、お前は・・・。」
「ほんとだぜ。そんな事言われて出ていくかよ。大丈夫だ。」

フリックとビクトールが言った。カミューとマイクロトフも言う。

「もちろん、騎士の誇りにかけて、貴方に従います。」
「俺も、喜んで、この剣を振るいましょう。」

他の皆も意気込んでいる。

「ありがとう!皆さん!じゃあね・・・。」

湊がニッコリとしてビクトールとフリックに袋を渡す。

「「なんだ?」」
「これから、2日間、強化訓練に行ってきて下さい。ある一定のレベルになるまで、帰ってきちゃ、だめですよ?」

・・・え・・・?

「お勧めは今の状態なら・・・トランへ行く山道ですね。あそこで、トラやらサムライやらランラン・リンリン・テンテンら3人娘達と存分に戦ってきて下さいね?何往復かすれば、レベル的にも体力的にも良い感じになると思います。で、戦闘で稼いだお金で、交易も忘れずして来てくださいね。そうですね、ロッカクの里とグレッグミンスターでしょうゆのやりとりをしつつ、ロッカクで買った光るたまをコボルト村へ、そしてコボルト村で買った古文書をグレッグミンスターで売れば良い感じになると思うんですよねー。」
「・・・て、おい、ちょ、湊?」

シーナがポカン、としながら言う。

「5万ポッチまでまだまだ足りないんです。ついでじゃないですか。」

満面の笑みを浮かべて湊が言った。
うわぁ、とシーナやら腐れ縁達は思った。そんな状態でも“さすが湊殿!”などと言っている頭の湧いた赤青やら耳に竜の飾りつけた者やら諸々はいるが。
ルックはといえば呆れたように立っている。
さすがルック、恋は盲目、ではないんだな・・・何気にシーナは思った。

「・・・僕もねー、色々稼ぐ方法、考えてるんですけどねー。もうちょっと交易、本格的にしてたら良かったなー。きまった商品、とかじゃなくていいなら、いっそ身体で払いたいくらいなんですけどね。」

ブフォウ!!
あらゆるところでフきだしてる音が聞こえる。
フリックが何気にルックを見るとなぜかうっすらと笑っている。いや、なのに顔が怖い。普段無表情の奴の笑顔が怖いとか、かなり底冷えするものがあるっ・・・。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ