ルック・湊(ルク主)
告白
なんだかルックがいつもと違っている気がした。
「君は・・・どうも僕がするキスを挨拶ととらえてたと思ったんだけど。挨拶なら、人前でしてもおかしくないだろ。」
「そう、僕だけなんだ?へえ。」
「それは光栄だね。挨拶みたいにとらえてたから、誰とでもしてたらどうしようかと思っていたよ。」
なんか・・・怒ってる・・・?
そういえば、確かに挨拶なら人前でしてもおかしくない、確かに。
でも・・・やはり恥ずかしいと思った。たとえ挨拶だとしても、やはりキスはキスだもの。
そして、僕はルックが好きなんだもの。
「様子、どう違うっていうの?もともと僕はこんな感じだろ・・・?」
「え、いや、そうだっけ・・・?て、ほんとルック!顔が近いっ。なんっ・・・んっ」
ルックがまたキスをしてきた。
これは、何なの?挨拶って、訳、ないよ、ね、さすがに?
なんらかで怒って・・・もしくはからかってるの・・・?
だとしても、それだとしても、キスが嬉しい、と思う僕は末期かもしれない。
「・・・ねぇ。」
「ふ・・・ぁ・・・な、に・・・・っ!?」
いきなり口を少し離したかと思うと、今度はルックが舌を入れてきた。
ルックの舌がっ・・・なんで、ほんとなんでなの?
だけれども・・・なんだかまともに考えられない・・・。なにもかもが麻痺して、口の中だけが敏感になっている気分だ。
そして、もう、立っていられなくなった。足ががくがくする。
するとルックはようやく口を離し、僕をそっと座らせた。
「大丈夫?」
「う、ん・・・。」
なんでそんなに優しく聞いてくるの?先ほどまではまるで怒っているかのようだったのに。
そしてとても強引に・・・キスをしてきたのに・・・?
て、思い出すとますます恥ずかしくなって、そしてまだ余韻が残っている唇にふれたあと、嫌な事に思いいたって、口を手で押さえた。
もしかして・・・実は僕がルックの事、好きだってばれてるの?それでさっきは怒ったような感じだったの?
そうだったらどうしよう。
だって、絶対ルックが僕を好きとかはない・・・だって今だって、ルックはくやしいほど冷静だもの。
僕は・・・色んな意味で立っていられないのに・・・。
「な、んで・・・。」
するとルックが僕の目線に合わせてしゃがんでくれた。そうして首を傾けてくる。
ほんとなんなの?なんかくやしい。なんだか泣けてきた。
「・・・ルックのバカァ・・・。なんで・・・いじわるすんのさ。僕、ルックになんか、した・・・?」
「いじわるて・・・。どこをどうとって・・・?」
ルックが不思議そうに言う。
「・・・いじわるじゃ、ない、の?じゃ、じゃあなんで・・・こんな事すんだよ・・・。」
「なんで、って・・・」
・・・あ。困ってる・・・?でも僕だって困る!だって意味分からないもの。
思い当たる事といえば・・・やはり・・・。僕、顔とかに出やすいもんね・・・。やっぱ好きとか思われるの、気持ち、悪い、ん、かな・・・。
「僕が・・・僕がルック好きなの、そんなバレバレなの?そんで、好きなの、そんなにやっぱうっとおしいって思ってる・・・?」
そう聞くとルックは黙ってる。ああ、やっぱり、そうなんだ・・・?
「・・・君、僕の事、好きなの・・・?」
ルックの口から直接聞かれ、身体がビクッとなった。
でも・・・ああ、もう、仕方、ないよ、ね。僕は深呼吸した。もうはっきり、認めよう。
「・・・うん。好き・・・。」
・・・あ。やっぱり怖い。
怖い。怖い。
どうしよう。ああ、せめて・・・せめて、嫌いにならないで・・・。
ルックの反応が、ない。呆れてるのかな・・・?気持ち悪いって思ってるのか、な・・・?
「・・・湊・・・。」
ふいにルックが僕を呼ぶ。そっとルックの手が僕の頬に添えられた。
「大切な、大好きな人がたくさんいる湊・・・。僕はその中の一人、かい?」
なんとなくルックの手が震えたような気がしたのは気のせいだろう。
たくさんの好き・・・ああ、うん、大好きな人はたくさんいる。
でも。
ルックへの大好きは、違う。考えないようにしてたけどもそれが出来ないと分かると、僕は何度も何度も考えたもの。
「ち、がう。ルックへの好きは・・・特別な、好き・・・っ!?」
そう言いかけているとおもむろに抱きしめられた。
え、え、な、何!?何!?
ぎゅう、と抱きしめてくるルック。
相変わらずさっきと同じように意味が分からないのに、なぜだか心が暖かくなった。
「・・・湊・・・」
そうして、ルックはまた僕にキスをしてきた。
何かを言われた訳ではないのに、なぜだか僕の気持ちが受け入れられたような気がして、すごく嬉しくなった。
さきほどとは違った涙が1つだけ、ポロリ、と落ちる。
僕はキスを受けながら、自分からルックにぎゅう、と抱きついた。
これからは、はっきりと、言っても、いいの、か、な・・・。
「ルック・・・大好き・・・。」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ