二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ルック・湊(ルク主)

INDEX|37ページ/174ページ|

次のページ前のページ
 

養生



とりあえず魔術師の島に帰ったとたん、あらゆる場所の掃除をさせられた。
ため息をつきながらも、ルックは大人しく家事にいそしむ。

「ルック・・・。」

2人で食事をとっている時に、レックナートが話しかけた。

「はい。」
「良かったですね。」
「・・・レックナート様、湊に余計な事、おっしゃらないでいただけますか。」
「ふふ・・・。で、今回はどうして?・・・湊の紋章ですか?」
「・・・はい。」
「何が知りたいのです?」

そうしてルックは文献を調べるまでもなく、一番知りたかった、いや、知りたくなかった事を知った。

『始まりの紋章』
「輝く盾の紋章」と「黒き刃の紋章」の二相を持つ紋章。二相を併せ持つ巨大な力と不老の力、そして法と混沌の争いを裁く力が与えられる、といわれている。
このそれぞれの紋章は親友同士でないと宿せないという。そして、宿した者達は、戦い合う宿命を負うのだとか。・・・やはり紋章など、呪いでしかない・・・。
そして・・・。
片方の相だと不老の力は与えられず、・・・紋章の力を使う度に宿主の命を削り続ける・・・。

使う度に・・・。
湊・・・。
もう何度使用していただろう・・・。
脳裏に、あの満面の笑顔の湊が過る。

「っ。させない・・・。」

こんな・・・こんな紋章なんかに、湊の命をやってたまるか。
とりあえず紋章は使わせない方向で行かないと。あと、どうにかして、少しでも削られた命の補充は出来ないものだろうか・・・。
それについて少し調べよう。あとは・・・

ルックはその後を塔の書庫で過ごした。
翌日、ルックは朝食を作ったあと、昼食、夕食の仕込みまですませる。

「・・・ていうか、僕がいない間、レックナート様がどうやって生きているのか、少し知りたい・・・。」

そうして昼過ぎには同盟軍の本拠地に戻ってきた。
そして湊を見かけないな、と思ってふらりとその辺を歩いていたら、とんでもない噂話を耳にする。
キスマークをつけた張本人がシーナだって?バカバカしい。あれは僕が・・・。
にしてもあまりにもところどころで2人が付き合っているらしい、などと噂を耳にすると、ありえない、と思いつつも面白くない。
一体シーナは何をしでかしたんだ。

おもしろくない、と思いつつ、いつもの石板の前にいると、シーナがやってきた。
ちょうどいい。もちろんシーナが湊と付き合っているとは100%思っていないが、こんな噂を立てられるような何をやらかしたんだと、知りたい半分、なんとなくムカつくから、嫌がらせ半分でシーナに噂話について持ちかけた。
するとシーナ自身は知らなかったようで、面白いように焦っていた。
そうこうしているうちに色んな奴らがここに集まってきた。
まったく・・・湊もどんだけ思われているんだ、気にくわないな。シーナはシーナで、疑われるくらいならいっそ何かしておけば良かった、などと聞き捨てならない事を言ってるし。

「・・・バカじゃないの?」

その時、湊の声がした。そんなに大声じゃないのに、むしろその声しか聞こえない勢いでルックの耳にも届いた。
そしてルックがいる事に気づいた湊は、あの、ルックが愛おしくてしかたがない笑みを、顔じゅういっぱいに浮かべて走ってきて、そしてルックに飛びついてきてくれた。

湊・・・。
君は絶対に僕が守る。

ルックは愛しさと、周りへの牽制と、そして今回とても気になっている事の確認もあり、その場で湊に口づけた。
唖然とする周り。そして湊はといえば、顔を真っ赤にして口をパクパクとさせている。まぁ、公衆の面前でおもいっきりしたからね。
とりあえず湊が叫ぶ前にここを離れよう、面倒だ。
ルックはそう思い、転移魔法を使って自分の部屋に移動する。

今回確認したかったこと。
・・・多分、湊は今朝も紋章を使ったに違いない。今までは知らなかったのもあり、気づかなかったが、こうして知るようになると、気づく事がある。
湊がなんだか疲れている。それは前からだったのか、それともちょくちょくと使ってしまっていた為にどんどん消耗してきているからなのだろうか。
そうしてルックは今、湊をじっと観察した。
とりあえず、疲れた様子は見られないような気がする。・・・少しは・・・生気を送る事、出来たのだろうか・・・。

そう、今回確認したかったこと。それは“気”を送れるか、と言う事。
どこかの古い国の文献にあった道教。それにはさすがに今の自分には実行しかねる内容がのっていた。
ていうか、湊の同意もなしにやれば、それは犯罪だろ・・・。
とりあえず、紋章を媒体にしての“気”を送る、という方法も考えられるが、それは魔術師である自分であってもなかなか大変な作業になる。
それになりかわるような、もっとてっとり早い方法を探して見つけた内容だったが、さすがに、これは・・・。
だが、それは口うつしでもどうにかならないだろうか。
そう思い、試してみようと考えていた訳である。
それにしても先ほどは良い機会だった。
この方法を試せる上、もしこの方法が有効なのであれば、自分は恥ずかしがってなどいられない。誰が見てようがやらなければならない時はやる。だから人がたくさんいたのは、むしろ自分や湊がこの方法に慣れるにもちょうど良かった。
・・・それに、いい牽制になったし、ね。

「って、ルック!!!何僕を無視して考え事してんだよ!!ちょ、さっきのなんだよ!!ひ、ひどいじゃん、皆の前でするなんてっ。」

真っ赤になっている湊の声で、ようやくルックは我に返った。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ