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ルック・湊(ルク主)

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思慕(湊編)



え?と思った次の瞬間には先ほどいた場所から全然違う、だが湖沿いの場所。

「いきなりなにすんだよー、ルック。ここ、どこ?」

湊はむう、とした口調でルックに聞いた。

「さほど城から離れてないよ。」
「あ、そうなんだ、ならいい・・・わけないじゃん、もどろうよー。」
「湊は向こうのほうが、楽しい?」
「え?そりゃ皆でワイワイするのは楽しいに決まってるじゃん!なんで?」
「僕はにぎやかなのは苦手だ。ここでゆっくり月をながめてるほうがいい。・・・君と。」

そう言って月を見上げているルックが綺麗で、そしてこちらを見てきたルックがかっこよくて、そして何より、自分と一緒にいるのがいい、と言ってくれたような気がして、湊は顔を赤らめてぽかん、となった。

どうしよう。かもしれない、でやめておいたはずなのに。考えないようにしたはずなのに。気づけばどんどんルックが好きでしかたがない自分がいる。
バレたら終わりだよね?絶対、ルック、嫌がりそうだもん。でも、加速するこの想いを、どうしよう。
自分はポーカーフェイスは苦手だ。顔にすぐ出てしまう。いまだって、バカみたいに赤いに決まっている。
あんな殺し文句みたいな事言ったルックは、こんなに涼しそうな顔をしているのに・・・。

「・・・どうかしたの?僕といるのは、嫌かい?」

ずっと黙っていた自分にいぶかしむようにルックが聞いてきた。

「そ、そんな訳ないよっ。僕もルックとこうやって月とか見るの、好きだよっ。」

むしろ、ルックと一緒なら眺める先がモンスターである月光老師であってもかまわないっ。
すると、ルックはふ、と軽く笑ったように見えた。・・・あまり表情を変えないからわからないけれども。
あいかわらず湊がぽかん、とルックを見ていると、ルックは手を伸ばしてきた。そうしてそっと湊の頬に触れる。
そのまま動かないので、ドキドキしていると、ルックが口を開いた。

「湊。僕は明日魔術師の島へ少し帰るよ。」
「っえ?な、なんで?な、何かあったの!?」
「いや・・・。少し調べ物がしたいだけなんだ。」
「じゃ、じゃあすぐに帰ってくる?」

ルックの様子が先ほどから少し変だった為、もしかして帰ってこないんじゃ、と湊は少しあせった。そんな様子の湊にルックは首をかしげながら言った。

「ああ、もちろん。調べ終えたら戻ってくるけど?」

戻ってくる。戻ってくる、とルックは言った。島に帰ると言いつつも、ここに戻ってくる、と。
それが妙に嬉しいと思った。

「分かった。うん、行ってらっしゃい。なるべく早く戻ってきてね。」

そう言うと、ルックは相変わらず手を湊の頬に添えたまま、なにやら首を傾げていたが、そっとうなずいた。

「・・・分かった。」

そして湊に顔を近づけてきた。え?と思った時には、ルックの唇が湊のそれに合わさっていた。

「ふ・・・」

行ってくる、のキスだろうか・・・?にしても、ルックの出身国って情熱的なんだな、ていうか、これ、ほんとに挨拶なの・・・?
今までと違って、少し長いキスに、湊は疑問に思いつつもされるがままだった。
ようやく口が離れ、荒い息をしていると、ルックはそのまま湊の首元に顔をうずめてきた。

「っ?」

そっと着物の襟元を両手で持ち、浴衣を少し開くようにして口をつけてきた。

「な、何っ?」

吸われた?吸われたの?なんかそんな気がするんだけど・・・?そう湊が思っていると、ルックが顔をあげて湊を見た。
わ、やっぱ間近で見たらなおさら綺麗でかっこいい・・・。

「え、えと・・・。」
「・・・少し、肌寒くなってきたんじゃないか?」
「は、はひ?」

いきなり何・・・?と思いつつも、確かにそう言えばなんとなく風も出て来て少し肌寒いかもしれない。

「風邪をひいたらだめだろ、君は仮にも軍主なんだし。」
「か、仮にもって!」
「・・・着替えた方がいいよ。その上から何かを羽織ってもいいけど。」
「う、うん。」

相変わらず失礼な感じのルックだけども、心配、してくれてるみたいだし。それに、確かに風邪ひいたらだめだしね、と湊は素直にうなずいた。ここにシーナがいれば、普段の格好の方が寒そうだろうが、と突っ込んでいたであろう。
湊が同意すると、ルックは湊の部屋に転移した。

「着替えたら、皆の所に戻るといいよ。僕は明日早いし、騒がしいのは苦手だ。もう部屋に戻るから。」
「あ、ルックっ。」

ルックはそのまま、また転移してしまった。
少し寂しさを感じたが、とりあえずせっかく皆が参加してくれた訳だし、と湊はため息をついてから、着替えた後皆のところへ戻った。
着替えた湊の姿を見て、あきらかに落胆した者が驚くほど多かった事に、湊は気づかないままであったが。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ