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ルック・湊(ルク主)

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策略2



皇王の暗殺を、湊の幼馴染が・・・?
最後の部位を脱がせると、ルックは近くのソファーに目の周りを赤くさせている湊を座らせた。

「なぜ・・・そう思うんだ?」

お茶は後にしよう、とルックも湊の隣に座り、そっと湊の肩を持って聞いた。

「・・・前に、ね?えと、グリンヒルに行く前に夢を・・・見た事があるんだ。その夢ではね、王国軍らしき駐屯地で、僕らが一番最初に勝った戦いで将をしていたソロン・ジーっていう人に、敗北を重ねたからという理由だけで、あのルカは処刑を命じてたの。で、その後でルカは、次の目標であるグリンヒルを攻略出来る、ソロン・ジーに代わる将はいないかって聞いたんだ。・・・じゃあ、・・・ジョウイが名乗りをあげてた・・・。」
「・・・。」
「妙に鮮明な夢だなぁとは思ってたんだよ?・・・じゃあグリンヒルで、本当にジョウイが・・・向こうの将軍として・・・。」

湊は俯いたあと、また顔をあげた。そうして、正面を向いたまま続ける。

「その後ね、グリンヒルから帰ってきてからも同じような夢を見た。同じような駐屯地で、ルカがジョウイに、グリンヒルを落とした褒美をとらせるって言うんだ・・・。じゃあね、ジョウイはルカの妹のジルを下さいって言うの。ルカはね、そんなジョウイの不敵さに腹を立てるんだけど、ジョウイはものともせず、ルカにね、ある策があるって言うんだ。そこで目が覚めた。・・・さっき、クラウスが“ジル様の婚約”って、言ってたよ、ね?」
「・・・ああ・・・。」

返事しようがしまいが、湊は聞いていないだろう、とは思うが、ルックは相槌をうった。

「で、ね?今回の戦いで、コボルト部隊が撤退してしまって、僕らも撤退せざるをえなくなった夜・・・昨日にね、また、見たんだ。あれは、多分皇都ルルノイエの城の中のどこかだと思う。そこで偉そうなおじさんとルカとジョウイとジルさんがいたんだ。そこでジョウイが、ジルさんを伴侶として迎える事を誓ってから、一旦ジルさんが出ていったの。その後、ジョウイはハイランドの騎士としての忠誠をおじさんに誓ってた。そのおじさんがどうやらアガレスって王様だったみたい。で、ルカが持ってきたワインに、多分誓いの儀式なんだろうね、ジョウイが自分の手を少し切って血をそそいでた。ルカが先に同じワインを飲んでいたのを見た後で王様は手に持ってる、ジョウイの血が入ったワイン飲んだの。その瞬間ね、王様は・・・倒れちゃった・・・。それをルカは勝ち誇ったように笑って見てた・・・自分の・・・お父さんなのに・・・。ルカが言うには、ね・・・?ジョウイは自らの血に毒を仕込んでたんだって。で、解毒剤を飲んではいたみたいだけど、その後でジョウイも倒れてた。ルカは・・・ずっと死んでゆく自分のお父さん・・・アガレス王をののしりながら笑ってたよ・・・。ジョウイが言ってた策・・・。こ・・・れか、なあとか夢の中で僕は思った・・・。」
「・・・そう、か。」
「ねえ、ルック・・・。ジョウイは・・・どうしちゃったんだろう・・・。昔から・・・すごく優しい人だったんだよ?ずっと仲良しだったんだ・・・。ずっと、家族みたいに・・・。そんなジョウイが、国の王様、暗殺しちゃった・・・。」

ルックは、ただの夢だろ、とは言わなかった。
夢にしてはあまりにも鮮明で、そして現実とリンクしすぎている。
思うに・・・湊とジョウイがそれぞれ宿している真の紋章の半身・・・これがなんらかの形で影響を受けているのかもしれない。特に湊の宿している紋章は盾。剣を受け止める紋章。きっとあちらのそういった出来事をも、紋章は受け止めているのかもしれない。
ルックは何も言わず、そっと湊を抱きしめた。
湊は一瞬驚いたように動きを止めた後、自らもルックに抱きついた。

「何を考えているのかも夢で見れたらいいのに・・・。僕にはもう、ジョウイが何を考えているのか分からない・・・。グリンヒルで・・・ジョウイはルカを止める、みたいな事を言ってた・・・。でも・・・その為には手段を選ばないのか、な・・・?それじゃあ・・・ルカの殺戮と・・・どう違うのかな・・・?もしかしたら、あのミューズでの大量市民虐待も・・・ジョウイも一緒になってしているのかもしれない・・・。」

湊の声がだんだん震えだした。

「今回の・・・あんなに将軍としても人間としても素晴らしいキバの親子をも・・・簡単に切り捨てようとした・・・。そんな軍の一将軍を・・・ジョウイは・・・どんな思いで務めてるのかな・・・。ルック・・・。僕は・・・。ジョウイがそんな痛みも分からなくなっているのも辛いし、逆にとてつもなく心を痛めながらも何かの為にこらえているジョウイも・・・辛い・・・。僕は・・・僕、は・・・っんん」

明らかに情緒不安定になってきている湊に、ルックは口づけをした。
そのまま、片方の手を背中にまわし、優しくトントン、とあやすようにたたく。
最初は身体をこわばらせていた湊も、次第に落ち着いてきたようであった。ルックは唇を離し、涙でぬれた湊の目元にそっと口づけをした後、口尻をかろうじてあげる程度だったが湊に笑みを見せた。
とたん、湊は顔を赤らめてマジマジとルックを見る。
涙で瞳を潤ませ、頬を赤らめている湊。・・・あまり、見ないで欲しい、とルックはひそかに思う。
と、湊がまだ止まってはいない涙をポロリと落としつつも、こぼれんばかりの笑みを見せた。

「・・・っ。・・・落ちつ、いた・・・?」
「うんっ・・・。ごめんね・・・?」
「謝る必要はないよ。」
「じゃあ、ありがとうっ。」
「・・・うん。・・・湊。ジョウイの事は・・・僕にも分からない。手段をも選ばないヒトなのかどうかも知らない。だけれども・・・グリンヒルでの彼は、やり方は非情ではあったが、誰をも殺さずに街を落とした。テレーズを捕らえる際も、無駄だと分かっているだろうに、必ず生きた状態で連れてくるように、と言っていた。」
「ああ・・・。っそうだ、そうだよっ。そう、だ、ったっ。」
「確かに・・・君とジョウイは・・・お互い、色々と辛い事しかないかもしれない。でも・・・そんなジョウイを助けてあげられるのも湊だと、思う。」
「・・・うん。」
「湊は・・・僕らとともに、とりあえず・・・ルカを倒そう。それが・・・ジョウイへの助けになるだろうし。」
「うん。」
「湊へは・・・僕が・・・ついてるから・・・。」
「・・・っうん・・・。」

ありがとう、と今度は湊からルックに抱きしめた。ルックはホ・・・、と湊には見えない顔を優しげにゆるませ、小さく暖かいため息をつく。
・・・ただ・・・湊の持つ紋章・・・なぜか気になる・・・すっきりしない、とルックはまた顔をそっと曇らせた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ