二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ルック・湊(ルク主)

INDEX|28ページ/174ページ|

次のページ前のページ
 

動揺



「・・・逃げちゃった。」

湊はポツリ、とつぶやいた。
自分だけが分かるであろうルックの表情を見ていて・・・そして自分に触れようとしているルックに気がついて・・・。
その瞬間に頭の中がカァーッとなってしまった。そして気がついたら飛び出していた。

ああ。
ルックへの好き、は皆への好き、と違っていたのかもしれない。
もともと大好きだとは思っていた。それはいつもしつこいくらいまとわりついているから、ルックも周りも知っているだろうとは思うが。
でもその好き、は違っているのかもしれない。

とんでもないな。ルックはそういうの、興味なさそうだものね。きっとバレたら嫌がられそう。
そう思うと、胸がツキン、と痛んだ。
かもしれない、で止めておこう。こんな痛みなんて、知らない。だってこのまま考えを突き詰めて、結局ルックに嫌がられるとか・・・

「・・・ムリ、だな。あーもうっ絶対ルックのせいなんだからね!!」
「・・・え・・・?」

俯いてそう息巻いていると、背後で声がした。まさか、と思って振り返るとルックがいた。
なぜか茫然と・・・いや、むしろショックを受けている・・・?

「ルック・・・。えと、ど、どうしたの?」
「あ・・・いや・・・。君こそどうしたのかと、思って・・・。」

ルックは内心暴風中。アレ?僕、いつ切り裂き発動したっけ?とか訳のわからない事が頭をよぎる。
だって、今、間違いなく、湊は言ったよ、ね?
ムリ、だと。ルックのせいだ、と。

ああ・・・ある意味単体魔法最強と言われるソウルイーターの“裁き”(敵単体に1500のダメージ)を受けるよりもさらに酷いダメージを受けた。もう自分はダメだ・・・。

「あ、どうもしないよ、ごめんねっ、ルック。心配してくれたんだ!ちょっと思い出した事があっただけだよー。」

湊は一瞬固まったように見えたが、気のせいか、いつものように、頬を赤くして惜しみない笑顔でそう答えた。

あれ?もしかして大丈夫なのだろうか。ダメージが少しだけ軽減される。
“大いなる恵み”(輝く盾の紋章・HP70回復)を受けたような気分、であろうか。あ、だが輝く盾の紋章は湊の紋章だ。だとすればHPは500は固いな・・・と、ルックはもはやマニアックな勢いの考えを展開させていた。
そして恐る恐る確かめてみる。

「今、僕のせいだとか、ムリだ、とか・・・?」
「あ!ううん、違うの!ごめんなさいっ。何もルックのせいとか、ないから。ほんと、違うよ。ルックの事はいつだって大好きだもの!」

“いやしの風”(風の紋章・一人のHPの完全回復)が吹きました。

「・・・ルック?」

なんだか呆けているようなルックを訝しんで湊が呼びかけた。

「あ、いや。あ、その、昨日は・・・」
「ああ!もう、だめだよーあんま飲みすぎちゃ。身体に良くないよ?とりあえず元気そうで良かったけど。気をつけてね。」
「え?ああ、うん。」

完全スルーですか!?謝る前にくじかれた。
“雷のあらし”(雷鳴の紋章・単体に1200ダメージ)が落ちた気分だ・・・ていうか、さっきからウザいな、自分。
ルックは思った。いい加減、自分をとりもどさないと。
どうも昨日にしろ今日にしろ、色々と動揺しすぎている。まだまだ駄目だな、精神統一は魔術にも欠かせないものだというのに。
ため息をついてから口を開いた。

「君も大丈夫なようだね。じゃあ僕はもどるよ。」
「ありがとう、心配してくれて!あ、そうだ、ごめんね、ルック。」

湊は嬉しそうに言った。実際嬉しかった。自分の事を心配してくれるルックが本当に嬉しかった。
あと、昨日の事、言っておかないと、と思いつけたす。
情けないと思われるだろうな、理解できない頭の悪いやつだと。でも仕方ないよね、分からないし。それでも僕は僕だし。そんな僕に教えてくれようとしたルックにちゃんとお礼も言わなきゃ。

「・・・?何?」
「せっかく昨日、なんか教えてくれようとしてたのに、やっぱ分からなかった。警戒心、とかもろもろ?」

テヘ、と聞こえてきそうな勢いで湊が言った。
ぐ、とルックは息をつまらせた。それって、昨日のキスの事を・・・?て、何その軽さ!?

「だってどんな目にって言われても・・・嫌な目にはあってないし・・・。ごめんね、今度またちゃんと教えて?とりあえず教えようとしてくれてありがとう!じゃあね、僕もそろそろシュウさんのところにまた行ってくるよ!」

嫌な目にあって、な、い?今度ちゃんと教えて・・・?
ポカンとしつつ、ぐるぐると今湊が言った言葉が頭を巡る。

そんなルックの様子に、湊は少し首をかしげたが、あ、そうだ、とルックに近づく。
あれって、挨拶みたいなもんなんだろうね、おはよう、とかバイバイ、とかの。多分、そうだ。
きっとルックの出身国ではあれは親しい間での挨拶なのであろう。

そう考え、ニッコリとしてから、ルックの口に、軽く自分の口をくっつけていくと、じゃあね、とまたニッコリ笑って手をふり、駆けて行ってしまった。

「・・・え・・・?」

ルックは動かない、いや動けなかった。
もうとうてい自分の頭では追いつかない。ルックはそこに結局相当長らくの間固まって立っていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ