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ルック・湊(ルク主)

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日常




「何?何か用?」

子猿が近づいてきたので、ルックはそう聞いた。
いつものやりとり。

「おはよう、ルック!いやー、ただの挨拶だよ。ついでに石板でも見とこうかなーって。あ、後でパーティに入れるから、よろしくね。」

湊はいつものように、そう元気に言った。そしてまた後でね、と手を振って去って行った。
途中で出会う色々な人々に声をかけられ、そのたびに挨拶をかえしていく。その様子をルックは何気にぼんやりと見る。
最初にパーティメンバーの事で声をかけてきた時は、いつもルックの態度があまりにもつっけんどんだったからか、あの子猿なりにおずおず、だった。

「あの、さ。ちょっと仲間探しに行こうと思ってるんだけど、ルックも一緒に、来てくれる?」
「ん?ついて行ってあげてもいいよ?」

そう返すと、子猿はポカンとした顔でルックを見てきた。

「・・・何?」
「え?いや、その、そんな気軽にOKもらえるとは思ってなかったから・・・。どうせ、めんどくさい、とかうっとおしいとか言われるんかなーって。」
「・・・僕を何だと・・・。ついていってあげるのは当たり前だろう?」
「・・・え・・・?」
「レックナート様に命じられて、僕は君に協力する事になってるんだ。仕事なら断らないよ。」
「・・・あ、そか。そだよねー。」

湊はヘラ、と笑うとじゃあよろしく、と言ってから酒場に向かって行った。
一瞬?、と思ったけど、その後は別に変った様子もなく、そしてルックをパーティに誘う事も特に遠慮する事もなくなったようであった。


「今日はさー、ラタドとサウスウィンドウで仲間探そうかなって思って。」

一通りする事でも終えたのか、後でパーティとして呼び出された時に、湊が言った。

「ふーん。それはかまわないけどさ。なんで君と僕だけな訳?他にもあと4人くらい連れてけるだろ?」
「ああ、もう近場だし、いいかな、て。」

何がいいんだ・・・?
こんな小さな子猿と2人とか、勘弁してほしい。僕は肉体派じゃないんだからね。
だが文句を言う前に、湊は楽しそうに、行くよ、と歩き出した。
ルックも仕方なくついて行く。
いざとなればめんどうだがテレポートするしかない。こんな子猿でも今の天魁星である、自分の手が届く範囲にいる限り、守るのも仕事だと考えていた。

元ノースウィンドウである本拠地を出ようとした時に、何やら挙動不審な男がキョロキョロしていた。
湊はそんな男にも無防備に近づいていく。まったく・・・城主がそんなでいい訳?

「ええっと、ここでいいはずだが・・・。あのぉ、すいません。ノースウィンドウってのは、ここですか?いや、何ねぇ、道案内役が途中で逃げ出しちまったんで。」
「そうだよ。」
「ありがたい。なんでも噂じゃあ、奇跡の英雄が王国軍を打ち破ったていうじゃないですか。それで慌てて来てみたんですが、あなた、その英雄っての見ました?どんな人でした?」
「ムチャクチャ格好良かったよ?」
「おやおや、大人気ですなぁ。こりゃ期待出来るかもしれん。おおっと、こうしちゃいられない、お仕事、お仕事。すぐにでも面会をお願いしなくちゃ。それじゃあ、失礼します。」

男はペラペラと喋った後、相変わらずキョロキョロしながら城下町に入って行った。

「・・・格好いい・・・?」
「え、いいじゃん、言うだけならタダだろー?」
「しかも今の男、君に面会に来てたようだけど・・・?」
「だから?」

かまわず外に出だした湊にルックは続けた。

「何他人事なわけ?それに案内とか、いいの?」
「うん、あの人、見た目は頼りなさそうだけど、割としっかりしてそうだったし。それにせっかく今からルックと出かけるのにさー、邪魔されたくないじゃん。」

・・・案外見てないようで人の事、見てる、の、か・・・?ていうか、・・・何それ。・・・訳分かんない事、言わないでほしいよ・・・。

少し俯きながら、ルックはそう思った。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ